ホーム → 大学に関わる情報メモ → 教学マネジメント特別委員会(第4回)議事録
公開日:2019年9月6日
教学マネジメントに係る指針及び学修成果の可視化等に関連して,授業科目・教育課程について議論。
金沢工業大学の教学マネジメントの事例。建学の理念>教育・研究ビジョン>カリキュラムという仕組み。CAP制度で課外の学修時間を確保。シラバスは学生との契約(不変の部分とカスタマイズできる部分),学修目標とDPにつながっている。レベル別(マクロ/ミドル/ミクロ)に教育点検評価の仕組みを整備・運用。
アメリカにおけるアカデミック・アドバイジングの事例。段階別のアドバイジング(初年次,専攻決定前/後)。担当者に必要とされる資質・能力(アカデミック・アドバイジングそのものに関する理解,所属大学独自の事項や学生の特徴・ニーズ,対人関係)。卒業率・在籍の継続率が経営面で重視されているためアカデミック・アドバイジングが必要になる。日本への導入検討にあたって留意すべき点(専門職団体等による定義や基準,全ての学年を支援,担当者の能力開発,全学的な支援体制が必要)。
国際基督教大学の学修・教育センターの事例。学修支援(アカデミックプランニング等),教育支援(シラバス改善,FDプログラム,ICT活用支援等),学修環境の整備(合理的配慮の提供,教員へのサポート),学生調査(結果はオンラインで公開)等の機能を持つ。センターの様々な支援と学生や教員をつなぐハブとしての役割。
「教学マネジメントに係る指針に盛り込むべき主な事項」の修正内容の説明。修正は,これまでの議論を踏まえている。
質疑応答。学生やカリキュラムが様々なためCAP制で一律に数値目標を出すのは難しい。アカデミック・アドバイジングは支援者だけで終わらせずに大学全体での協働体制が必要。現状の「教学マネジメントに係る指針に盛り込むべき主な事項」は抽象的で指針にならない。どのようにプログラムとしてシラバスを作るのかというところも是非踏み込んで書いてほしい 。
○ 座長の選任等
- 大学分科会長の指名により日比谷委員が座長に選任された
- 副座長については,日比谷座長から小林(雅)委員の指名があった
○ 日比谷座長(国際基督教大学学長)
- 第9期から委員の交代はない
- 本日のメインの議題
・ 教学マネジメントに係る指針及び学修成果の可視化等
- 前回に引き続き,授業科目・教育課程について議論する
・ 初めに3名の方々から発表
・ 続いて事務局から本日の議論に関する資料などの説明
・ その後,発表に関する質疑,それから授業科目・教育課程に関する議論
○ 大澤敏氏(金沢工業大学学長)
- 教学マネジメントについて説明する
- 建学の理念の下に教育・研究ビジョンがある
・ CAP制にも非常に大きく関わっている大事な部分
・ 社会実装しながら学ぶというビジョンを掲げている(社会に広く学生を出して,社会の方々と共創)
- その下にカリキュラム
・ カリキュラムガイドブックが準備され,学科・課程の教育目標が書いてある
・ その中に学ぶ領域が科目群として細分化されていて,それらを学生に示す
・ 科目群にはそれぞれ教育目標がある
・ その教育目標を達成するとディプロマ・ポリシーを達成したことになる
- IR組織などを通して自己点検して,外部評価を受けて,またビジョンに戻るという仕組み
- CAP制
・ 課外の学修時間が確保できないという理由でCAP制を設けて,教育効果を上げている
・ 平成26年から30年にかけて,正課の授業外の予習復習の時間が約2倍に増えている
・ 科目がたくさんあり過ぎると学科混成クラスを作ることができない
- 異分野の学生や外国人と一緒にプロジェクトを進めていくときに,学部・学科の枠を超えてクラス編成をする必要がある
- PBL
・ 世代も分野も文化も全部越えて超えて教育すべき
・ 20歳前後の若い人たちと先生だけでの議論とはその深さが異なる
- 社会実装の例
・ 文科省が掲げている2040年までの5つの課題は全て入っている
- シラバス
・ 科目の学修目標が書いてある
- 学修目標を達成すると学科の目標が達成できて,DPにつながる
・ この科目を達成すると何ができるようになるか,○○ができるというような表現で書いてある
・ 当然学生との契約であって不変
- 先生方が新しい問題や課外活動へのリンクをリアルタイムでカスタマイズできる部分を加えている
・ 具体的な達成の目安が箇条書きで書かれている
- 今は,理想的な達成目安と標準的な達成目安がある
- 最低限の達成目安がDPと関係するので,それは学生に明示するべきではないかと議論しているところ
- 教育点検評価の仕組み
・ 教育活動の改善のための点検・評価システム
- マクロレベル:KIT評価向上委員会
- ミドルレベル:全学教育点検評価部門
- ミクロレベル:学科・課程
- IRとベンチマーク
- 最近のAP事業において,正課と正課外の活動をe-シラバスで合体させた
○ 清水栄子氏(追手門学院大学基盤教育機構准教授)
- アメリカにおけるアカデミック・アドバイジングについて紹介する
- 目的
・ 学生本人による学習目標の設定とその達成に対する支援
- アメリカでは,ほとんどの学生が大学に入学した後に専攻を決定する
- 将来のキャリア,目標,そのために履修する授業や関連する活動について計画・実践する
- その支援をする
- 組織
・ 全学でいうと,センターを置いているところが多い
- 担当者
・ 専門職と言われるアカデミック・アドバイザー
- アカデミック・アドバイジングそのものを専任で行う
・ 授業を担当しながら兼務としてアドバイジングを担っている教員アドバイザー
・ 研修を受けてアドバイジングをフォローしていくピア・アドバイザー
- 対象
・ 初年次から卒業まで,1年生から4年生までの全学生が対象
・ プログラムも実施
- 専攻が決まらない学生,1年生,編入生,優秀学生,アスリートの学生など
- 内容
・ 教務系の支援
- 履修指導,オリエンテーション,卒業要件など
・ 各学生それぞれに必要な情報の提供あるいは他部署への紹介
- 手段
・ 双方向のやりとり
- 面談,電話,メール
・ ワークショップの実施
・ 情報の発信としてフェイスブックやツイッター
- 入学から卒業までに行われるアカデミック・アドバイジングのイメージ図
・ 初年次からある程度専攻が決まるまで
- 履修と履修計画に関しての支援
・ 専攻が決まったら
- 専攻の中での必修や要件の確認、履修計画を支援
・ それ以降
- 卒業要件の確認、キャリア、大学院への進学希望有無などを踏まえたアドバイジング
・ 日々のアドバイジングでは必要に応じた情報提供,あるいは他部署への紹介も行う
- アカデミック・アドバイジングのミッション
・ 各大学のミッションにのっとって設定されている
・ コロラド大学における学習成果の設定の事例
- 学位プログラムの要件を理解する
- 学習に関する情報に基づいて自分でプランを決断する
- リソースを理解する など
- 学生から見たらアカデミック・アドバイジング
・ 教員やアカデミック・アドバイザーと交流することで,大学への満足度が上がると言われている
- NACADAの調査等でも報告されている
- 日本での調査でも同様のことが言われている
- アカデミック・アドバイジング担当者(専門職)の役割
・ 履修に関わる全般的な助言及び対応
- 履修科目の選択,専攻の決定・変更の際の助言や手続きに関する支援
- 卒業要件や諸手続などの情報提供
- 教員アドバイザーの役割
・ 専門的な立場から学生の状況に見合った専門領域へと導いていく
- 科目選択、希望する進路など
・ 日本で言うと教務系の部署,チューター,担任,ゼミ指導の教員と大体イメージが重なってくるような役割
- アカデミック・アドバイジング担当者に必要とされる資質・能力
・ 専門職団体のNACADAが掲げている枠組み
・ 基礎となるCompetency
- 概念
・ アカデミック・アドバイジングそのものに関しての理解
- 情報
・ 所属大学独自の事項に関しての情報,自分の大学の学生層の特徴・ニーズ
- 対人関係
・ NACADAは研修プログラムや書籍による情報提供を行っている
- アカデミック・アドバイジングがアメリカで必要とされている理由
・ 卒業率・在籍の継続率が経営面で高いウエートを占めている
- 学生にとって大学を卒業することに関しての意味付け,意義付けが高い
- 学生の大学への進学理由では「よりよい仕事に就く」や「キャリアを磨く」の割合が高い
・ 様々な学生が入ってきている
- 日本への導入検討にあたって留意すべき点
・ 専門職団体等によってアカデミック・アドバイジングの定義や基準というものがある程度示されている
・ 1年生から4年生まで,年間を通した支援が行われている
- ハブと形容されるような部署になっている(学内の他の部署との連携)
・ 担当者に対する能力開発が行われている
- 学内だけではなく,専門職団体NACADAの貢献のウエートが高い
- ただし,各大学での実践というのは独自性を持って行われているところも特徴
・ メリットとデメリット
- メリット
・ 主体的な学習姿勢を促すことができる
・ 帰属意識を高めることで卒業率を向上させる
・ ハブとして,他部署とか教員との全学的な支援体制を確立させる
- デメリット
・ 担当者の負荷
・ 必ずしも全学生が来ているわけではない(本当に来てほしい学生が本当に来ているのか)
・ 担当者による対応に温度差がある
・ 予算の確保
・ 全学的な支援体制の確立が必要
- 専門職や一部署が全てをカバーできるわけではない
・ 年間を通じて継続的にアドバイスをしていくことが必要
- 履修登録の時期だけとか卒業の確認の時期だけではない
- 目的や目標,責務の範囲などを明らかにした学習成果の設定と,それの評価による改善ということは必要
・ 担当者に対しての能力開発が必要
- 学内だけではなかなか難しい
- 学外とのネットワークも含めたような研修の実施が必要
- アメリカでいうNACADAのような存在は大きい
- 質の保証を考えたときに,ある程度の基準の提示も必要
○ 小林智子氏(国際基督教大学学修・教育センター部長)
- 学修・教育センターの機能
・ 学修支援,教育支援,学修環境の整備,学生調査等
・ その中から幾つか特徴的なものを紹介する
- 学修支援
・ アカデミックプランニングサポート
- メジャー制においては,専門外の分野についてアドバイスを与える場面もあるため,学修・教育センターは橋渡しの役割も果たしている
・ 学生のピア・アドバイザーも活動している
- ライティングの支援
・ ライティングサポートデスク
- 大学院生のチューター
- 学生自身がチューターに自分のレポートの説明をする中で内容の整理をし,よりよい文章にしていく
- 特別学修支援室
・ 身体障害,学習障害,発達障害,精神障害のある学生に合理的配慮を提供
・ 教員へのサポートも行っている
- 教員への配慮依頼,FDセミナーの開催,支援事例の共有
- 教育・授業支援
・ シラバスの改善
- 学生アンケートを実施
- シラバス作成ガイドラインの改定等
・ 英語で授業を行う教員のための研修
・ 新任教員のためのFDプログラム
- ビデオやオンラインコンテンツを用意している
- 新任教員はあらかじめ予習をした上で,週2時限,10週間にわたるプログラムに参加する
- 役職者の教員やその他の教員がファシリテーターとして登場する
- アドバイジングについて扱う回の中では,学生のピア・アドバイザーも登場する
・ 授業におけるICT活用についてに支援
- 反転授業の個別サポート
- 調査や分析
・ 学生の意識調査や卒業時調査など
・ 授業効果調査を毎学期行い,結果をオンラインで公開している
- 非常に多くの学生が履修計画の参考にしている
- 学修・教育センターは学生とも教員とも様々な形でつながりがあるということが強み
・ 強みを生かして,センターの様々な支援と学生や教員をつなぐハブとしての役割を果たしていきたい
○ 日比谷座長
- 事務局から本日の資料などを説明する
○ 平野大学改革推進室長
- 前回の主な意見まとめ(資料7)
- 教学マネジメントに係る指針に盛り込むべき主な事項(資料8)
・ これまでの議論を踏まえて若干アップデートしている
- 「学修目標の具体化」→「「三つの方針」を通じた学修目標の具体化」
- 大学全体の方針をしっかり作ることが,大学全体のクオリティーの確保,また幅の広い学修を確保する観点から必要という旨を追記
- ディプロマ・ポリシーは過度に抽象化されることがないように留意する必要があるという旨を追記
- 自分たちの提供するプログラムが適切なものかを説明できるようになることが重要との指摘を反映
・ それを客観的に説明できるようにするためには,様々な基準や,外部の評価といったものも役に立つケースがあるのではないかとの指摘
- 「授業科目・教育課程」→「授業科目・教育課程の編成」
- 個々の授業科目についての到達目標
・ 過度に抽象的にならない範囲でのディプロマ・ポリシーというものをさらに具体化するという観点で設定すべきものとして整理
- 「カリキュラムマップ」,「カリキュラムツリー」等の記載の部分
・ それ自体が目的ではなく,手法を通じながら必要な科目が過不足なく存在していることを検証することが重要
・ または履修順序・履修要件の検討が行われることが重要
・ 手法は例示の位置づけ
- ナンバリングへの指摘を踏まえて記載を追加
- 学生の時間は有限であることを頭に入れて対応を考える必要がある旨を追記
- アクティブ・ラーニング
・ 内容について追記
・ 授業科目の到達目標に応じて手法を採用するかを決めるべきという旨に修正
- 教学マネジメント特別委員会での議論のロードマップ(資料9)
・ 前回まで第9期だったので第10期を未定としていたが、今回から第10期なので記載した
- 平成30年度の先導的大学改革推進委託事業「大学における学修成果の分析・活用等に関する調査研究」(資料10)
・ 調査内容
- 各大学に対するアンケート調査
- 各大学6校に対するヒアリング
・ 大阪府立大学、金沢大学、関西大学、 京都光華女子大学、京都光華女子短期大学部、琉球大学
- 海外機関に対するヒアリング
- 企業の採用担当者へのアンケート調査
・ eポートフォリオ
- 現状においてまだまだ活用の割合というのは少ない
- 活用しているところは,かなり好意的に捉えている
- 大学教育再生加速プログラム(AP)の資料
・ 今年度が最終年度
・ 各大学の取組をまとめたパンフレットが完成しているので配布
○ 日比谷座長
- 3つの発表についての質疑,コメントの時間をとる
○ 吉見委員(東京大学大学院情報学環教授)
- 日本の大学教育の根本的な問題と、金沢工業大学の取り組み
・ 学生の履修科目数が多過ぎて,しかもそれらが有機的に構造化されていない
- 金沢工業大学はCAP制を徹底している
・ 学生たちが一体何のために学ぶのかという目的がはっきりしていない
- 金沢工業大学は社会実装という解を出している
- それらの取り組みに賛同している上での質問
・ 課外教育
- 単位科目の外側にしている積極的な理由、消極的な理由は何か、評価する仕組みはどうなっているのか
⇒ プロジェクトそのものにいろいろな性格があって,それぞれに単位を設定するのは不可能に近い(金沢工業大学)
⇒ 学生が自主的にするということを尊重、単位のために何かをやるということを本学は求めていない(金沢工業大学)
・ 17単位のプロジェクトデザイン教育科目を学生は幾つぐらいとる形になっているのか
⇒ 一人の学生に対して一つのライン(金沢工業大学)
・ e-シラバス
- アメリカのシラバスに近い形が実現している
- 教員は1学期当たり幾つぐらいシラバスを書くことになっているのか、負担ではないか(教員の負担の問題)
⇒ 3科目から,多い人で4科目、負担にならないと思う(金沢工業大学)
○ 清水委員(山梨県立大学理事長・学長、筑波大学名誉教授)
- 金沢工業大学の取り組みについて
・ 授業と課外活動について、単位外と授業を結び付けているので、課外活動の学修という学びの時間というのは,授業の関連の時間に当然入る
・ 日本人の学生が勉強していないという文科省の非常に悪いデータを解決する上でヒントになるのではないか
・ 日本の学生は,授業もたくさんやっているけれども,授業外でもこうやって勉強していますということを見せるヒントになると思う、政策に組み込めないか
- 村井氏(金沢工業大学理事)による補足
・ 大切にしたいと思っていること
- 課外の活動というのは学生の自発的・自主的な活動であるべき
- 課外の活動が正課の授業との関係をしっかり持っていることが,正課の授業への能動的な取組や,授業内容と社会活動との関係性の認識になる
- 課外活動というものを単位化することを検討する必要がある
○ 益戸委員(UiPath株式会社特別顧問、株式会社肥後銀行取締役)
- いくつかの大学のシラバスを見てみるとひどいものがあった
- 教学マネジメントに真剣に取り組んでいない大学について,我々ははっきり意見を言うべきではないか
- 教学マネジメントの仕組みの中の外部評価(金沢工業大学)は非常に重要で、学内だけで考えてはいけない
- 教育の議論の中に「学長の強いリーダーシップの下」と出てくる
・ そこに全て頼るのではなくて,より具体的に提案することが非常に重要ではないか
- 「大学教員と専門スタッフ等との協働体制」
- 「契約書」
- 「コースカタログ」
- 「できるようになること」(到達目標)
- 「事前に必要な」の「事前に」という部分
- 「内容が着実に実施されることが重要」
○ 浅野委員(山形大学学術研究院教授、名古屋大学IR本部特任教授)
- 金沢工業大学への質問
・ 「学生の行動目標」
- シラバスで目標を統一化するのは非常に難しいところだと思う
- 特に必修科目や,同じ授業の複数開講の場合,担当教員が異なると目標を合わせるというのが難しい
⇒ 同一科目に対しては同一シラバス。担当教員が替わってもシラバスの内容は変わらない。ただし、e-シラバスの部分は担当教員によって異なる(契約書の部分は一致していて,そうでないところはプラスアルファ)
⇒ 「学生の行動目標」について、複数担当科目の場合は,科目代表者が決める。学科の目標のどこに合致しているかというのは,学科長を中心に決める。その上には、学部長、部長会がある。教育点検評価部で情報を得てフィードバックしていく構造になっている。
- 同一科目であれば目標は同じだということの最終的なチェックはどこでされているのか
⇒ 教育点検評価部でチェックしている。各学科から1名ないし2名,副主任クラスを選出。2週間に1回,科目の精査をしている。
- 追手門学院大学への質問
・ アカデミック・アドバイザーを専門職とされる方々はどういう方が担当されているのか
- 科目の履修選択などを学生に指導するとなると,ある程度アカデミックなバックグラウンドがないと難しい
⇒ 学生支援あるいはアカデミック・アドバイジングに関わるような分野の修士程度。学部卒の方であっても,大学等でピア・アドバイザーなど経験を積んで,その上でアドバイジングを担うようになっている方もいる。
- 国際基督教大学への質問
・ センターの支援のうち,教員への支援は具体的にどのように対応しているのか
- 分野を横断していろいろな先生方に対応できる体制を築くのは,すごく難しいように思えた
⇒ 他の教員の事例を伝えたり、他の部署やスタッフとのつながりを活かして支援したりしている。新任教員のためのプログラムでは専門とする教員がコンテンツ等を考え、センターが運用していくといった体制もとっている。
○ 日比谷座長
- ここからはシラバス,CAP制,履修指導体制を中心に議論を進める
○ 吉見委員(東京大学大学院情報学環教授)
- CAP制に例外を設けることを認める条項
・ 特に優秀な学生については適用を除外する
・ いわゆる難関大学で,特に優秀な学生がたくさんいる場合、例外がたくさんあって当然だという議論も成り立ち得る
・ 例外規定があると,大学によっては必ずしもCAP制は徹底しなくてもいいという結果にならないか
- 特に難関大学の場合,抜け道がいろいろ生じるのではないか
- 「1年間の上限単位数が多すぎることにより実質的に機能していない場合には」は表現が抽象的
・ 具体的なガイドラインはなくてよいか
・ 大学や学部によって,それぞれの事情で実はこれは多過ぎないという理屈を立てることも可能
○ 小林(雅)副座長(東京大学大学総合教育研究センター教授)
- CAP制
・ 導入には賛成
・ CAP制が機能していない、導入していない大学がある理由
- 学生やカリキュラムが様々で一律に数値目標を出すのは非常に難しい
- 例えば教職課程であれば何単位,それ以外の学生にとっては何単位というように,もう少し細かな規定が要る
・ CAP制について基本的な考え方を書かないと,この記述だけではいろいろ議論が拡散してしまう
- 大学に委ねる部分というのは非常に大きいという書き方になるのではないか
○ 溝上委員(学校法人桐蔭学園理事長代理、桐蔭学園トランジションセンター所長・教授)
- アカデミック・アドバイザーのいろいろな機能や役割を大学全体で見ていると,教学マネジメントのほころびが見えてくる
・ キャリアカウンセラーなどの支援者を入れても、そこだけで終わっている
・ 単なる支援者以外の協働体制、事例を聞きたい
⇒ コロラド大学ボルダー校の学科に訪問調査した当時は学部、大学院でそれぞれ1人(学部は350人ほど)。相談に来た学生に適切な教員を紹介。
・ ST比のような数字(学生が何人いれば支援者が何人)はあるのか
⇒ 教員1人が200人のアドバイジングを行うような場合、履修のサインだけで終わってしまうというようなことも現実問題としてある。教員と支援者との連携、全学的な連携が必要。
○ 佐藤(浩)委員(大阪大学全学教育推進機構准教授)
- 指針の形式について、資料8で書かれている文章が本文そのものになるのか
⇒ 体裁そのものがこういう形になるかどうかは,これから考えること(平野大学改革推進室長)
- 用語集が必要
・ 「カリキュラムツリー」などの用語をきちんと説明しなければいけない
- 文末の書きぶりが抽象的で指針にならない
・ 例:「学生にわかりやすい形で提示されることが必要」
- 何が「わかりやすい形」なのか,数字としてどのくらいなのかが提示されないと具体的な指針にならないのではないか
- 「再掲」などがどのような形で最終的にまとまるのか,よく分からない
- 「毎回の授業に関わっての事前・事後の学修時間」
・ 多くの大学ではワンボックス内にざっくりと書かれている。それをきちんと各回について書くことが大事。
- 全学ないし学部・学科レベルでシラバスの項目の見直しをしなければいけないということは書かなければいけない
・ そのときに,諸外国との互換性についても触れてほしい
- 単位互換するときにこのシラバスではもう話にならないということが繰り返し言われている
・ 項目の見直しをした上で,学内での相互チェックを担当者を決めて行う
- 現状のようなシラバスが認証評価等で通ってしまっていることが問題
・ 外部評価についてはここでは踏み込まないということではあったが、問題のあるシラバスがどんどん認証されているということの問題点についても言及した方がいい
○ 川並委員(学校法人東京聖徳学園理事長・学園長、聖徳大学・聖徳大学短期大学部学長)
- CAP制
・ 短期大学の場合は,免許・資格を出して卒業させるのが命
・ 過度なCAP制や規定化をしてしまうと,卒業するときに免許・資格が取れずに卒業するという事態も発生して,それぞれの短大の死活問題にもなりかねない
・ それぞれの学校種別ごとに検討してもらいたい
○ 林委員(政策研究大学院大学教授)
- CAP制
・ 認証評価機関にいた際、分野別部会ではCAP制を学内で一律に定めると困るという状況があった
- 教育学などの資格
・ どのレベルでCAP制を設定するのかまできちんと踏み込んで書いてほしい
- シラバス
・ 様式としては、資料に書かれている通り
・ 一方で,シラバスを作る体制については、学内の相互チェックが不十分
- 各授業で教えられることが重複していたり,本来プログラムとして教えられるべきものが欠けていたりする状況も現実にある
・ 今の指針の読み方だと,教員個人がしっかりした様式の下に書いてくれと読めてしまう
・ そうではなくて,プログラムとして,各授業でどういうものを教えるかというのをまずは考える必要がある
・ どのようにプログラムとしてシラバスを作るのかというところも是非踏み込んで書いてほしい
○ 浅野委員(山形大学学術研究院教授、名古屋大学IR本部特任教授)
- シラバス
・ 「契約書」(5ページ27行目)という言葉の重さ
- 実質はそうだが,学内からは,もう書いてしまったら変えられないのではないかという考えが出てくる
- 変えてはいけないという印象を持たれるような用語を使うのはどうなのかということが気になっている
・ 林委員と同様に、まずはプログラムとして考えた目標を踏まえてシラバスは書かれるべき
- 自分なりのテイストを少しは入れるということは多分認めてもいいと思うが、大本のところは上から落ちてくるところが大きい
- そこをイメージできるような書き方が重要ではないか
○ 松下委員(京都大学高等教育研究開発推進センター教授)
- CAP制
・ 京都大学の場合も一律に入れるのはとても難しく,今いろいろな部局でそれぞれの事情を踏まえて導入あるいは検討されている
・ 教員,学生の側にもCAP制を入れることに否定的な声が結構ある
・ 教育IR推進室などが履修・修得単位と成績評価の関係を洗い出して,その上で説得力をもってCAP制の意義を示していくことを行っている
- 直接評価と間接評価(金沢工業大学の発表内容)
・ 発表では,間接評価とプロセス評価,直接評価とインプット・アウトプット評価が同じように捉えられていたが,概念が違っている
- 影響力をもつ資料なので,修正をお願いしたい