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第5回EMIR勉強会

公開日:2014年9月9日 

概要

形式的なIRでは意味がない。現場が知りたいと思っていることに応えながら、IRを大学マネジメントにビルトインしていく。いきなり「データをください」では上手くいかないので、少しずつ信頼関係を築いていく。単なる結果の記述・可視化だけでは改善につながらないので、データを組み合わせて仮説検証をすることが大切。大学の規模・実態に合ったIRをすればよい。KPI(重要業績評価指標)を使って目標と関係する項目を管理する。「大学生基礎力調査」のデータ分析の結果を報告。Excelでもデータの加工・分析はできる。IRは目的を決めて、データを分析し、文脈を与えるもの。

勉強会の情報

参加しようと思った理由・感想

大学・企業が行っているIRの取り組みを聞くことで、学内に応用できる情報が得られるのではないかと思い、参加しました。また、一般的なツール(Excel)を使ったIRの話があるとのことだったので、IR担当者の養成に役立つのではないか思い、参加しました。

とくに応用できそうだと感じたのは、現場が知りたいと思っていることに応える、組織的にIR活動を継続していく、重点項目を決めて管理するなどです。また、多くの大学でIR担当者の養成が課題になっている[1]ので、専門的なツールを使わずに、ExcelでIRを進めるという方法は1つの解決策になりそうです。

内容

 ○福島先生(山形大学)
   - IRは単なるデータ分析ではない
   - 形式的なIRでは意味がない
   - 1人のIRの専門家だけではうまくいかない
     ・ IRマインドの組織文化が大切
     ・ システム・組織・権限が大切なのではなく文化が大切
   - どうやってIRを大学マネジメントにビルトインするか
     ・ 現場が知りたいことに応える
     ・ 定期的に更新するデータのテンプレートを作る
       - 何を経年で見ていくかを現場と検討して決める
   - 操作性・美しさ・楽しさ・柔軟性が大切
     ・ 難しいものは使われない
   - IRを行う先には実現させたい目的・状況がある
     ・ その間にはたくさんの人がいる
   - いきなり「データをください」では上手くいかない
     ・ 少しずつ信頼関係を築いていく

 ○上畠洋佑さん(学校法人関東学院法人事務局)「関東学院大学のIR」
   - 三菱総研DCSとの共同研究(学生動向要因分析プロジェクト)
     ・ 特定の課題が事前にあったわけではない
     ・ 探索的に調査した
   - IRを推進させることになった理由
     ・ 学長がIRの重要性を実感した
     ・ 認証評価への対応に必要という危機感があった
   - IR推進室の組織上の位置
     ・ 学長室の下
     ・ 副学長の指揮下
   - これまでの経緯
     ・ 以前は学生生活部長の個人的な負担によるところが大きかった
     ・ 職員が三菱総研DCSの分析結果を徐々に読み取れるようになっていった
       - 職員はWGに所属するため定常的な組織ではなかった
     ・ WGが定常的な組織(IR推進連絡会)になった&IR統括責任者が学生生活部長から副学長に変わった
   - 総合データ
     ・ 1029項目からなる
     ・ 2年間かけて各部署からデータ収集した
     ・ 三菱総研DCSにデータ提供をして「統合データ」を作成してもらった
   - 分析結果
     ・ 成績×休学・退学・就職
       - 影響弱い
     ・ コンピテンシー×休学・退学・就職
       - 現在検証中
   - 単なる結果の記述・可視化だけでは改善につながらない
     ・ 他のデータと結びつけて仮説検証をすることが大切
   - Excelでできる
   - IRレポート
     ・ 三菱総研DCSの総合データ分析月次レポートを基にIR推進室で作成
     ・ 見せ方を改善した
       - 最初は文字ばかりだった
         ・ 誰も読まない
       - 次は研究紀要形式にした
         ・ 教員が論文として意識してしまった
         ・ 本質的なところではなく、形式的なところに注目されてしまった
     ・ 文章だけでは伝わらない
       - 各学部の責任者と対話することが大切
   - 成績不振者面談表の改訂
     ・ 主観で作られた設問だった
     ・ 分析結果に基づいて不要な項目の削除を提案した
   - 大学の規模・実態に合ったIRをすればよい

 ○岡田倫太郎さん(東京未来大学エンロールメント・マネジメント局)
   - キャンパスアドバイザー制度
     ・ オープンキャンパス対応、授業、面談、プロジェクト支援、就職支援を担当する
   - IRの組織化を検討してきた背景
     ・ 学内の各部署にデータが存在する
       - それぞれをつなげる必要があった
     ・ データを調査するだけで活用できていない

 ○猪股賢一さん(日本私立学校振興・共済事業団私学経営情報センター)
   - 学校法人情報検索システム
     ・ 出力される結果の詳細は個別に問い合わせをしてもらえれば回答できる
   - 入学者数の大きな増加が見込まれない状況なので、学生数に対する比率という指標に限界がきている
     ・ 新しい指標を模索している
   - 大学ポートレート(仮称)私学版のスケジュール

 ○山下仁司さん(ベネッセ教育総合研究所高等教育研究室)
   - KPI(Key Performance Index;重要業績評価指標)
     ・ 最終目標と関係・相関のある管理項目
     ・ 客観的に測定できるもの
   - 「外部の標準化されたテスト等による学修成果の調査・測定」が必要
     ・ 私立大学等総合改革支援事業(平成25年度)で評価項目になっている
   - 「大学生基礎力調査」のデータ分析の結果
     ・ 「1年次に、専門分野の勉強に力を入れたか」のKPI
       - 大学進学の目的、学びたい学問ができる、教育の充実(教員・設備)
       - 学部志望度
       - 高校時代の学習習慣など
       - 高校時代の能動的学びの経験
     ・ 「汎用的能力の育成」のKPI
       - 高校時代の学習習慣など
       - 高校時代の能動的学びの経験など
     ・ 退学の危険性のある学生を管理するためのKPI
       - 進学動機
         ・ 自宅通学、入試難易度、高校教師の進めなどを1番に挙げている
       - 学部志望度が第3志望
       - 学部系統
         ・ 社会科学、理工系統
       - 入試方式
         ・ センター利用

 ○横山宗明さん(株式会社三菱総合研究所人間・生活研究本部)
   - 調査・分析だけではなく、教学改革の実践に結びつけることを紹介
   - 卒業生データを使って大学改革実行プランで求められることを検証した
     ・ グローバル業務への従事、グローバル人材に必要な能力の習得
     ・ 社会で求められる能力の習得
     ・ 学び直しのニーズ など
   - 卒業生の特徴と大学の特色が一致しているかの検証
     ・ 行動積極型、楽観豪放型、慎重現実型
   - 学生を類型化
     ・ 各グループの特徴を分析
     ・ 学習行動の特性を教育改善につなげる

 ○福与直也さん(日本マイクロソフト株式会社パブリックセクター統括本部)
   - 技術革新によって、ビッグデータを分析し、意思決定につなげられるようになってきている
   - 法政大学でのデータ分析システムの導入事例
     ・ Excelでデータの加工・分析ができることが導入につながった
   - 現場で使えないと意味がない
     ・ そこでExcelを中心にしたデータ分析ソリューションを提案する
       - Excelは多くの人にとって最も使いなれた分析ツール
   - デモ
     ・ PowerPivot for Excel
       - 大量のデータをそのままExcelに貼り付けると処理が重くなるので、それを解決
       - クラウドとデータウェアハウスのデータから、大量データの高速処理を実現する
         ・ Excelでテーブルを使用する感覚で、バックエンドデータベースのデータを取得
     ・ PowerView for Excel
       - 抽出したデータからダッシュボードを作成
         ・ わかりやすく結果を見せることができる
         ・ インタラクティブなデータ操作
     ・ GeoFlow for Excel
       - 高度な地図データ分析

 ○Huie先生(The University of Texas System)
   - システムでできることの例
     ・ 専攻・大学ごとに表示
       - 卒業学生の1年後・5年後の収入(上位・下位・中央値)を表示する
       - 学位をとるためにかかった年数
       - 大学院への進学率
     ・ 分野ごとに表示
       - 成長率
       - 収入
       - テキサス州と全国の比較
         ・ 働きたい州・分野の選択の参考にできる
   - 目的を決めて、データを分析し、文脈を与える
     ・ その目的を実現させるためには多くの教職員が関わることになる
     ・ IR職員の役割の1つは、それらの人々に文脈をわかりやすく伝えること
   - IR職員のバックグラウンド
     ・ リサーチの専門性を持っている人
       - 必ずしも教育分野というわけではない
     ・ 統計処理ができる人
   - IRの歴史
     ・ 認証評価への対応から始まった
   - IRダッシュボードを作るためにかかった期間・人、それへの評価方法
     ・ 1年間くらいかかった
       - データを集めるのに時間がかかった
       - データが集まってからは早かった
     ・ 学生のニーズを考えながら設計した
     ・ 学生に使ってもらい、フィードバックをもらって改良した
     ・ コミュニケーションの専門家(グラフィックデザイナー)が関わった
       - どのようにすればわかりやすく見せられるか

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