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公開日:2014年12月17日
IRについて、定義、諸外国での活用状況、「日本型IR」の在り方を扱った研究会の報告。IRの定義は、統一的固定的なものと捉えるのではなく、常に発展・深化していくものであると理解することが適切。情報収集、調査分析、報告書作成を通じて、当該大学の変化を促進し、質的向上を継続的に実現することが主たる目的であるべき。IRを担うべき組織・人材・資源は大学内部の組織と大学外部の組織の二つの視点から見る必要がある。日本でもIRに関する大学間の連携を構築していくことが不可欠。
○山田礼子先生「IRの基本原理と米国での活用、日本での応用」
・ 日本の中で、新しい高等教育のマネジメントとしてIRがなぜ誕生してきたか
- 資料(スライド3)の一番上 ※資料の掲載がないため詳細不明
- 国立大学の法人化
・ 中期目標や中期計画の策定と実行が不可欠になってきた
・ 大学の内部にあるそういうデータが散在していて、それを一元化して管理していくことが課題
- 大学評価が制度化
・ 定量的な根拠データの作成と評価報告書の作成
・ 評価報告書の作成が楽になる部分があると思われる
・ フレッド・ボルクワイン先生(ペンシルベニア州立大学)のゴールデン・トライアングル・モデル
- 報告業務と政策分析
・ IRの中心業務は執行部・外部機関への報告
- 計画策定、エンロールメント・マネジメント、財務管理
- 質保証、学習成果アセスメント、プログラムの検討、効果測定、アクレディテーション
・ IRそのものは、色々な国々でそうしたよく似たものは進展してきていたかもしれないが、基本的にはアメリカから出発している
- アメリカでのIRを把握することが必要
・ IRの定義
- 一般的にはサウプの定義、ピーターソンとコラソンの定義、マッセンの定義が使われる
- それらをまとめると「意思決定につながるようなデータ分析をして、それを業務改善などに生かしていく」
・ 具体的な活動(大学の規模・種類にかかわらず共通して見られる)
- アクレディテーション関連業務とプログラムの検討
- 運営管理上の情報の提供と計画、学内の政策策定とプログラム評価のための分析
- 学生、大学教員、職員のデータ収集と分析
・ アメリカのIRは集権化/分散化の度合いによる差異が存在している
- 日本も同様
・ 国立大学などは評価室ができていて集約化が進んでいる
・ 私立大学、特に小規模大学では集権化ではなく、色々な部門に分散化されていると思われる
- インディアナ大学ブルーミントン校での話
・ データを学内の色々なところからもらうのに許可が要ると言ったら驚かれた
・ データは大学のものなので、大学のために分析するのになぜ許可が要るのかと聞かれた
・ アメリカの公立大学(州立大学)と私立大学でのIR室の違い
- 公立大学
・ より大規模なIR室と多数の専門職員
・ 報告業務だけではなくて、政策分析や大学全体の戦略的なプランや評価などの機能が充実している
- 私立大学
・ どちらかというと小規模なIRの部屋と少数の専門職員
・ 学生や両親、同窓生などに向けて活動を構成している
- 違いがある理由
・ 公立大学は私立大学よりも、連邦や州政府への報告業務の要求がより厳しく求められる
・ 私立大学は独自の建学の理念やミッションを追求する
- それらを支えるアクターである同窓生や親などへの説明責任が重要
・ アメリカのIRを取り巻く環境変化とIRの役割の現状
- 1960年代に急速に拡大
・ エビデンスベースが1つの潮流になった時代
- 1990年代以降のIRの機能
・ 大学の政策決定のサポート等、重要な役割を担うというように変化
- 学生の多様化への対応
- 高等教育の財政、配分の縮小
- 外部に対する説明責任の要求の高まり
- 地域アクレディテーションがより厳しい基準を採用するようになった
- 連邦の学生援助に関してより大学の学生への教育効果が求められるようになった
・ 最近はとくにアカウンタビリティへの対処が主な業務になっている
- 現状は政府、州政府へのレポーティング業務が増えている
・ IPEDS
- 全米の高等教育機関を対象とした包括的なデータベースシステム
- ほぼ100%と言っていいぐらい、アメリカの高等教育機関はIPEDSにデータを提供している
・ 提供しないと連邦の政府が提供する機関としての奨学金を受給する資格を失ってしまう
- AIRの提携しているワークショップのメインはIPEDSの使い方
・ 新しく入った職員などは、そのワークショップを通じてIPEDSの使い方などを学ぶ
- 一般の人たちには使いにくいという批判がある
- そこで新しいデータベース「College Portrait」が登場した
・ 州立大学の協会が独自に開発
・ 高校生が大学選択をしやすいツール
・ スペリングス委員会が2006年に出した報告書に基づいている
- 高等教育機関は一般の人たちにとってもよりアカウンタブルでなければいけない
・ IPEDSとの違い
- 標準的な調査を使った各大学の結果を横断的に見ることができる
・ National Survey for Student Engagement(ネッシー;インディアナ大学が中心となって開発)
・ Corporative Institution Research Program(UCLA)
- 共通の標準試験(CLA)の結果、ジェネリックなスキルを測るテストなどの結果が比較可能な形で見られる
・ CLA:日本では「AHELO」というプログラムの中でこれを日本版に翻訳して使うということが進められている
- 大学ごとに入学時と卒業時の進捗状況を見ることができる
・ 大学の個性(入学時のテストがよくなくても伸び率が高いなど)がわかる
・ IRは非常に専門的な部門
- そのため、アメリカでは職能開発プログラムが充実している
- AIRが最も費用を使っているのはIRの人材育成
・ 日本ではアメリカと比べて短期間でIRへの関心が高まってきた
- 急速な環境変化の中で対応できるような組織になっているのかについて考えてみる必要がある
・ 分析の視点の例
- 既存の大学教育研究センターはIR部門として機能すべきか
- IR部門が存在しているのか
- 専門職の存在と育成はどうなのか
- 私立大学におけるIR部門は国立大学と同じであるべきなのか
・ IR部門を大学の中で位置づけていくときに意識すべきこと
- データ係か、戦略立案者か、研究者か
・ 山田先生の考え:中間に位置する存在、研究優先では機能しない
- 外向け部門か、内部部門か、研究部門か
・ 山田先生の考え:内部部門(執行部の意思決定を支援する機関であるため)
・ 自分の大学で行っている文脈に応じて、IRとはこうしたものだというように考えがち
・ 4大学連携のIRプロジェクトの紹介
- 戦略連携支援プログラム
- 同志社大学(代表校)、北海道大学、大阪府立大学、甲南大学
○小林雅之先生「IRの国際比較:米国・日本」
- IRというのは大学によって全部違うもの
・ 良いところは真似すればいいし、そうでないところは別に真似する必要はない
- IRについてのこれまでの紹介では定義があまり一致していない
・ IRの定義というのはみんな違うという話から話に入るというのが現状
- Terenzini「IR の三層構造」モデル
・ 各層がバラバラではなくて、それぞれ重なっていくというところが重要
・ 3つ全て含んで「IR」という言い方をしている
- スウィング
・ 「報告書を作成する」
- アクレディテーションの関係でアメリカの概念では非常に重要
- 広がったのは2000年代に入ってから
・ リスク管理まで含めてIRの役割というように考えている
- 変化への対応に非常にコストがかかるようになる前に、機関の変化をマネジメントするようなプロセスに従事する者
- Volkweinの4つの類型
・ 4つそれぞれの重みづけ、何をするかについては各大学、大学内の部門によって違う
- Peterson
・ IRについて「増殖する経営ガイド」というような言い方をしている
・ 当初のデータを蓄積するというような役割から、非常に大きなところまで行っている
- Delaney
・ アイアーラーについて「知識の仲介者」という言い方をしている
- 知識を持っている人と持っていない人が分化していく
- そこを繋ぐのがアイアーラーの役割
- 「情報の共有」という考え方は、IRを考えるときの一番基本的なキー概念の1つ
- 決して体系的・組織的に「IRとは何か」と考えてできたものではない
・ アメリカのダイナミズムの現れ
- 定義を決めて大学が一斉に走ることにはならない
・ 日本での動き(中教審の定義)とは異なる
- 各大学が自分たちのIRを考えればいい
・ 共通の定義を考える必要はあまりない
・ 日本型のIRを考えればいい
- ただし議論する場合には、IRが表すものをはっきりさせないと混乱する
・ 狭義のIR(データアナリシス)
・ もう少し大きな大学全体の戦略を考えているようなIR
- アメリカでIRが発展した背景
・ 大学に対する社会の信頼の低下
- 税金・授業料に対して大学が十分に応えられなかったという反省
・ 評価
- 大学間の競争が激しい
- ただし、競争と協力という2つの中でIRが発展してきた
・ 効果と効率
・ 戦略的計画の中でIRの重要性が再認識されてきた
- 「大学の役割とミッションを再確認し、これに手を加えるもの。長期、複数年にまたがる全体的、総合的なもの」(ラポブスキー)
- 全学レベルのものもあれば、各組織のレベルのものもある
・ 東京大学大学総合教育研究センターと野村證券による戦略的計画のレポート
・ New Directions for Institutional Researchの特集「戦略的計画とIR」
- コア・バリュー → 具体的なターゲット → パフォーマンス指標
・ コア・バリュー:ミッション、ビジョン、価値
・ パフォーマンス指標:具体的なターゲットに対して、実際にどの程度できるかを表す指標
- 留学生の比率や女性教員の比率などは、それ自体は目標ではない
- あくまでミッションを達成するための1つの手段
・ 実行するためのプロセスである「ロードマップ」を書く
- IPEDS
・ どんどん発達していったために非常に複雑なシステムになっている
- 例:定義が違う授業料のデータ
・ どのようにデータを収集したかというマニュアルだけで何百ページとある
- アメリカ大学協会(American Association of Universities)のデータ・エクスチェンジ
・ 加盟会員校間でデータを交換できるシステム
・ 日本と比べてデータの共有化がかなり進んでいる
- IRが情報公開、内部の質保証のために必要になってくることは、もう間違いない
・ ただし、それは各大学によって違う
- 教育の比較は難しいのでベンチマークが有効
・ ただし、せいぜい10校ぐらいを対象に行うために、間違った結論になりやすい
- 指標が適切でない場合、あるいはデータや測定に問題がある場合
・ ベンチマークを進めていくということは、大学間のIRを進めていくということにも繋がっている
- 日本のIRについては、戦略的計画、学生調査、ベンチマークなどをバラバラにするのはなく有機的に関連づけて行う必要がある
・ ただし、大学の中で同じ組織がやる必要はない
・ 各大学がそれぞれ判断すること
- 東京大学大学総合教育研究センターで報告書を出している
・ 9大学のベンチマークの事例紹介
・ IRの具体的なプロセスなども紹介
○池田輝政先生「日本型IRの実践:記憶にとどまるデータづくり」
- IRの概念と現実との距離をどのように詰めたかについて話す
- 日本の大学関係者のデータ認識に関する私の悩み
・ 経営者のデータに関する認識や関心は、かなり限定的
・ 情報データは「お金がかかる」という感覚が経営陣の中で強くなっていく
- 何でもデータ化して蓄積しようとするため
・ IRを組織的に整備する際には、適切な外圧が必要
- 教育情報の公表施策は、大学の経営者にIRへの認識を高め、必要性に気付いてもらうという意味では有難いものだった
・ IRの考え方を組織に浸透していくには専門人材が必要
- しかし専門人材は使い勝手がよくないという認識が経営者にある
- 日本能率協会が企画したIR研究米国大学視察団
・ 視察で大切にしたこと
- 事前の知識よりはアメリカでのIRを実地で知って、そこから感じたことを大事にする
- 自大学の教育情報の公表という直接の目的に役立つようなIRの学び方
- 現実の多様性を知る
・ 大学の歴史的な経緯や目的など機関により多様性がある
- 先端事例を含む多様性の幅を調べる
・ そこからIRの全体イメージが見えてきて、参加メンバーそれぞれに自分なりのIRの定義が生まれる
・ 視察で学び、感じたこと
- IRの整備にはトップマネジメントの関与が必要
・ IRは組織のガバナンスとアカウンタビリティに対応した業務
- IR業務を担う人材育成の方法論が開発されている
・ 大学経営のトップ層(理事長-学長-副学長)がIRの業務マネジメントを主導している
- IRの特色や力点の置き方は大学によって様々
- IRの組織化のステップ(視察後に名城大学の常任理事会で報告を行った内容)
・ 情報公開に対応するデータ表示のウェブサイト・デザイン(短い期間)
・ 学内データの収集・整理と新データの生成(3~4年後)
・ 教育の質向上に向けた経営判断の材料となる、データ及びデータ分析の内部IRメカニズム構築(遠い将来)
- マネジメントの方法論からみたIRの意味
・ データ・スチュワードシップ
- 経営学の視点からのIR
- スチュワード:主人に代わって家事全般を切り盛りできる「執事」
- データ・スチュワード:トップマネジメントに代わって資産としてのデータをマネジメントできる人
・ 米国の大学で新たに登場しているIR人材像
・ これから大学経営者はデータ・スチュワードを育てなければいけない
・ 「データ・スチュワードシップ」という方法論の概念
- データを組織の資産とする
・ 米国で2000年以降に出てきた考え方
- ガバナンス機関はデータの運用・調達の権限を業務として推進する専門スタッフを決めてサポートする
・ ここにIRスタッフの専門性が必要な理由がある
・ データは資産なので、それを運用・調達する専門職が必要
- 専門スタッフは常にチームで協働する
・ IR業務は1人ではできない
・ チーム・コミュニケーションができて、かつ調査・分析の技術や能力をある程度持った人が専門スタッフとなる
- データにアクセスして分析する際の基本ルールを設定する
・ IR専門スタッフには、基本ルールの設定権限を与える必要がある
- 権限を持つ専門スタッフは任務の理解と遂行能力に優れている
・ IR専門スタッフとなる人材は、組織の任務を最初に優先して、それを自らが汗をかいて実行する精神の持ち主であるべき
- 学部や教育の現場での大事な改善や変化はトップ層まではなかなか伝わらない
・ しかし、トップ層に近い者が行うデータ分析によって、それが可能になり得る(記憶にとどまるデータづくり)
- 例:名城大学の人間学部と付属高校との高大一貫教育の成果検証
- 記憶にとどまるデータづくりから見えたこと
・ トップマネジメントからは見えない貴重なゴースト・データがある
- IRスタッフはそれを引っ張り出さなければいけない
- 蓄積されたデータだけを分析するというだけでは専門職にはならない
- 必要なデータがどこかにあるはずだと見当をつけて、自ら現場に取りに行くという姿勢が求められる
・ 連携プロジェクトの文脈を知る
- IR スタッフは、分析データの文脈も知るということが技量として要求される
・ データ保管者(ガーディアン)との直接のコミュニケーションをとる
- 貴重なデータを持つ現場の教職員スタッフはデータを守る姿勢が基本にある
- その保管者(ガーディアン)としての精神に働きかけるには、直接のコミュニケーションによるしかない
- それが不得手な人はIR スタッフには向かない
・ 関係者の声にデータで応えようとする姿勢が基本になければ何事も起こりえない
- データ表現をしようとするIRスタッフには、この精神がまず必要
- 日本の大学におけるIRの課題はガバナンスの視点から理解する
・ 社会的には「IR はトップマネジメントの責任問題です」とプレッシャーをかける構造が必要
・ コンピューターを入れて、そのメンテナンスや更新にお金がかかるということに頭を悩まされている現実がある
・ 現場のレベルでは、資産としてのデータづくりという考えを受け入れる余地はまったくない
・ 公表あるいは分析のためのデータづくりという考え方から始める段階
- データの囲い込み文化のなかでの収集・分析・報告というのが常態
・ それを変えていく必要がある
○高橋宏先生「IRの発展・深化と定着に向けて-第48回公開研究会から」
- 本稿の目的
・ 第48回公開研究会『IRの基本原理と活用―国際比較と日本型IR』の講演内容を紹介する
- 私学高等教育研究所主催(平成23年7月7日)
- 研究会のねらい
・ IRの基本原理を考察する
・ 米国等の諸外国での活用状況を比較する
・ 「日本型IR」の在り方を考察する
- 講師
・ 山田礼子先生
・ 小林雅之先生
・ 池田輝政先生
・ 日本のIR(Institutional Research)定着の方向性を述べる
- 三氏の講演内容を主要トピックごとにまとめる
- IRとは何か:基本原理の理解
・ IRについて十分な理解が広まっているとは言えないのが実情(山田、小林)
- わが国でのIRは未だその導入期にあると考えられる
・ IRの定義は、米国でもさまざまに述べられている(山田)
- 原因
・ 大学内外の諸条件が変化している
・ IRに求められる役割への期待が変化している
- IRの定義・基本原理は、統一的固定的なものと捉えるのではなく、常に発展・深化していくものであると理解することが適切
- 米国におけるIRの発展と現状:その役割・組織
・ 米国で初期に重視されたIRの役割は「情報提供」
- 機関の計画策定等の基本的な事実認識・問題把握に不可欠なため
・ その後、情報の獲得・提供に関して「組織的情報力(organizational intelligence)」という役割が重視された
- 技術的分析的情報力、問題に関する情報力、文脈的情報力の3つから構成される
・ これらの情報力に加え、外部への報告と戦略的計画の策定という役割が重視されるようになった
- 例
・ 学生・教員に関する情報の調査分析
・ 年次計画や戦略計画の策定
・ アクレディテーション・政府への報告書作成
- 情報収集、調査分析、報告書作成を通じて、当該大学の変化を促進し、質的向上を継続的に実現することが、各大学の主たる目的であるべき(小林)
・ 「IR=機関調査」は、調査そのものが目的ではなく、大学の発展こそが目的
・ こうした役割・機能を担うべき組織・人材・資源の問題
- 大学内部の組織と大学外部の組織の二つの視点から見る必要がある
- 大学内部の組織
・ 米国の研究者・ヴォルクワインの類型(山田、小林)
- 相対的に小規模で組織が未分化・非集権的な類型
- 相対的に大規模で組織分化が進み集権的な類型
- 比較的大規模であるが組織が未分化なために部局間での重複など無駄の多い類型
- 比較的大規模で組織分化が進み集権的な類型
・ ヴォルクワインの組織構造についての考え方
- 次の2つの構造に分けている
・ 官僚的なピラミッド型の上意下達的な構造
・ 専門的判断や実績に基づいた合意形成的な構造(専門職集団の組織など)
- 大学という機関では、これら二つが同時に存在している
・ IRの実施と意思決定のプロセスで重要になること
- どの組織類型を採用するか
- 二つの組織構造をどのように組み合せるか
- 役割分担をどう行なうか
- 大学外部の組織
・ 米国ではAIR(Association for Institutional Research)の存在が大きい
- AIRの使命
・ IR人材(研究者というよりは、専門的実践的な人材)の育成
・ データ・情報の提供
・ それらを通じた高等教育機関の質的向上
・ IRを各大学が単独に実施するだけではなく、専門家集団のネットワークを通じて使命達成の役割を充実させていくこと重要
- わが国におけるIR導入の現状と課題
・ 用語自体に未だ馴染みが少ないのが実情
・ どれか一つの定義を受動的に理解するのではなく、IRの目的・機能自体が大きく変わっていくものと理解することが重要
・ IR組織の導入状況(同志社大学江原氏による調査;山田、小林)
- 「IRオフィスあり」は21%(136大学のうち29校)
- IRという名称を使用しているのは10%
・ 名称に拘らなければ、米国のIRで実施している役割・機能の多くは、殆どの大学で実施していると考えるべき
・ わが国のIR関連業務が、IRの意義と機能を的確に理解して有機的に実施されているかどうかが重要
・ IRの基本原理として重視すべきこと
- 自らに関する情報収集・調査分析がどのように効果的に活用されているか
・ 政策策定
・ 教育研究の計画作成・財務管理
・ 機関全体の教育研究実績・経営・管理運営 など
・ 「ガバナンスの視点からのIRという認識」を強化し、特定の部局がデータ・情報を囲い込むこと無く全学的なデータベースを構築し、これらを大学経営に活かすような組織構築こそが重要(池田)
・ わが国においても、IRに関する大学間の連携を構築していくことが不可欠
- 各大学が個々バラバラに行なうのではなく、大学が協力・連携しつつ重要な理解を共有する仕組みの構築が大きな意味をもつ
- 連携四大学(北大、大阪府大、甲南大、同志社大)におけるIRネットワークシステムの構築(山田)が指針となる