ホーム → 大学に関わる情報メモ → 教学マネジメント特別委員会(第3回)議事録
公開日:2019年4月12日
本日の議論の対象はカリキュラム編成の高度化,柔軟な学事暦の運用,アクティブ・ラーニング等を活用した教育の推進,主専攻・副専攻の活用 。
教学マネジメントの指針に向けて,機関レベル,プログラムレベル,科目レベルを意識して議論する。機関レベルの議論をする際に,いわゆるガバナンスは議論の対象に入らない。逆に個々の学生のレベルには下りていかない。この委員会の議論では,高い理想を追うことも大事だが,余り理想に走り過ぎないようにする。言葉の混乱がないように委員会を進める(教育プログラムと学位プログラム,アセスメント・ポリシーとアセスメント・プラン)。
プログラムレベルのディプロマ・ポリシーだけでは,学部・学科を超えた教育をデザインすることはできない。そのため,機関レベルのディプロマ・ポリシーが重要。
執行部が変わると,前の代の議論が忘れられてしまうことが多いため,カリキュラムマップ,カリキュラムツリー,DPの達成度,学修成果を基に次のカリキュラム改革をするということを明文化して執行部で引き継いでいく。
科目の到達目標の一部は成績に絡んでないことが多い。また,一番採点しやすい知識・理解だけを成績評価していることがよくある。
委員からそれぞれの所属大学のカリキュラムマップ,ツリーについて発表。山形大学では,カリキュラムマップの記号に○,△ではなく,I・R・M・Aを使っている(導入,応用・強化,熟達, 最終的な評価;学年進行に沿って各科目が導入から評価まで,どのようなスパンで行われているのかが見えるようになる)。プログラムごとにディプロマ・ポリシーと授業の到達目標の対応を数値化する(IRの出番)。
○日比谷座長
- 「教学マネジメントに係る指針」の性格
・ グランドデザイン答申
- 非常に真剣に改善に取り組んでいる大学と,改善の努力が不十分な大学とに二極化している
- 大学全体として十分な信頼が得られているとは言い難い
・ 中教審がまとめる本指針の性格
- 教学マネジメントはそれぞれの大学が自らの責任において,それぞれの大学の事情に合致した形で構築すべきもの
- 教学マネジメントの確立及び学修成果の可視化,情報公開の促進という観点から,過去の答申などで示されている大学教育改革に関する手法などを再び整理
- それぞれの大学の教学面での改善・改革に係る取組を促すために作成する
- この委員会の議論の範囲
・ 高い理想を追うことも大事だが,余り理想に走り過ぎない
・ 「設置基準等の質保証システムについて見直しを行うこと」は別の部会に委ねる
- 来期10期の中教審大学分科会で新規の部会を設ける方向が示されている
・ 「教学マネジメントに係る指針」の作成と,これを念頭に置いた学修成果の可視化と情報公表の在り方を集中的に議論をしていく
・ 本指針は大学の学士課程及びこれと共通性が高い短期大学の課程を念頭に作成する
・ 大学全体,学位プログラム,個々の授業科目の3つのレベルを意識しつつ議論を進めていきたい
○平野大学改革推進室長
- 教学マネジメントに関する共通理解のために資料を作成
・ 教学マネジメントとは
- 大学がその教育目的を達成するために行う管理運営
- 教育目的を最大化するための管理運営
・ 教学マネジメント指針とは
- 各大学の教学面での改善・改革を促すために,その取組についての留意点等を網羅的にまとめたもの
- 特定の取組を強制するものではない
・ 三つの方針を策定,学修目標の具体化,体系的な教育課程,成績評価,学修成果の把握・可視化のサイクル
・ FD・SD・教学IRはマネジメントの営み全体を支えるもの
- 経営層にも研鑽を図っていくことが必要
・ 情報公表で社会からの信頼と支援を獲得
・ 3つのレベルでのPDCAサイクル
- 個々の授業科目レベル
・ 授業科目・教育課程から成績評価
- 学位プログラムレベル
・ 三つの方針の中から学修目標の具体化,学修成果の把握・可視化
- 大学全体レベル
・ 個々の学位プログラムレベルでの営みというものを全学的に適切な体制の下で横断的に行っていく
- あらかじめ点検・評価するために,達成すべき質的水準,具体的実施方法などを決めておくということが必要
○小林(雅)副座長
- 部会・委員会の間の連携が課題となっている
- 大学全体のレベルと言ってもいわゆるガバナンスは入らない,逆に個々の学生のレベルにまでは下りていかない
・ 意識することは必要
- 教学マネジメント指針
・ 「水準及び具体的実施方法などを制定」の「制定」は「作成」などの弱い言葉にしてほしい
- 枠をはめるものではないため
○川並委員
- 今回の議論に専門学校は入るのか
⇒ 三浦大学振興課長:入らない
○日比谷座長
- 各論の授業科目・教育課程に関する議論に移る
- 本日の議論の対象
・ カリキュラム編成の高度化
・ 柔軟な学事暦の運用
・ アクティブ・ラーニング等を活用した教育の推進
・ 主専攻・副専攻の活用
○沖委員
- 授業科目・教育課程に関する発表
- DP
・ 「学部・学科が教育活動の成果として学生に保証する最低限の基本的な資質」
- CP
・ 「DPを保証する体系性と整合性が担保されたカリキュラム」であることを端的に示せばいい
・ 余り大した文章を書く必要はないだろうと思っている
・ ディプロマ・ポリシーを実現するカリキュラムを作るところがカリキュラム・ポリシーの本質
- 資料p.4「アセスメント・ポリシーとは」
・ 機関レベル,プログラムレベル,科目レベルでの妥当性・有効性のcheck
- 滋賀県立大学の工学部のDPの例
・ 観点別に整理されている
- 学習指導要領の4つの観点
- 学士力,学力の3要素,Bloomの3領域などでもよい
- ハーバード大学のコア・カリキュラム
・ シンプルで検証が容易
・ 例:技能
- 「正確に意思の疎通を図ることができる」
- 「コンピュータ等を用い,数量的な処理を行うことができる」
- 「1つ以上の外国語を用い,コミュニケーションすることができる」
- DPの項目の中に指標・基準は入れない
・ どのように成果を測定するかについては,DPの中に文言として入れる必要はない
・ ただし,各項目をどのように検証するかについては,教育を行う側が事前にしっかりと考えておく必要がある
- DP策定の留意点
・ 「4年間の学士課程教育で保証する最低限の学修成果を項目として記述すること」
・ 少なくとも3つ以上に分けて「何々できる」という行為動詞で記述する
・ 建学の精神や全学,学部,学科の教育目的とDPの整合性をとることも大事
- 到達目標の書き方がアセスメント・ポリシーの命
・ 例:山口大学の教養の授業「芸術論特殊講義」
- 15週終わった時点で具体的に何ができるかということがはっきり書いてある
- 15週終わった時点でどのように成績評価が行われるかまで読み取れることも重要
・ 「基礎的な美術史の用語を理解し,それを用いて作品を説明できる」
↓
・ 「さまざまな美術史の用語を教えてもらえるんだろう」
↓
・ 「作品の写真などを見せられて,『この作品を基礎的な美術の用語を用いて説明しなさい』というような問題が出るだろう」
- 多くの大学で,学生を主語にして行為動詞で書かれるようになってきている
・ しかし,立派な到達目標が書かれているものの,その一部は成績に絡んでないことが非常に多い
・ 成績評価では一番採点しやすい知識・理解だけを穴埋め式の問題でやっていることがよくある
・ そうすると,マップ・ツリーで保証されているDPの妥当性,それからGPAへの信頼性も全部なくなる
- 1つの科目で全ての観点を網羅する必要はない
- 到達目標作成の留意点
・ 「DPとの関連で科目の到達目標を設定する」
・ 「マップやツリーに示された科目の位置付けを確認して自分の到達目標を設定する」
- 科目の到達目標を各授業者に任せるのではなく,学科全体で考える大学が増えている
- 到達目標は「成績評価を行うものだけに厳選する」
- 大学設置基準の大綱化以降は,カリキュラムや教育内容を大学自らが説明しなければいけなくなった
・ 大学自らが説明することがカリキュラム・ポリシーの本質
- 点検項目は3つある
・ 目的
- DP
・ scope
- DPを育成するのに十分な科目群でカバーされているか
- カリキュラム・マップ
・ sequence
- 系統性・体系性
- カリキュラム・ツリー,ナンバリング,履修系統図など
- 根拠資料があれば,あとの文章は実は大したことはない
- いろいろな大学のカリキュラム・マップ,カリキュラム・ツリーを見てわかってきたこと
・ まずはカリキュラム・マップでカリキュラムの整合性,偏りをチェックする
- DPのすべての項目に丸を付けている科目があったり,一部のDPの項目に対する科目が少なかったりする
- マッピングする個数
・ 決まりはないが,成績に絡む主要な到達目標1つから3つぐらい
・ 成績評価に絡む到達目標に厳選するならば,十幾つになることは基本的にはない
- 到達目標とDPの関係性
・ 成績と対応していない
・ 科目の内容がDPとは全く関係がない(多くは人ありきの科目)
・ 次に系統性・体系性を示すツリー,ナンバリング,履修系統図をワーキンググループで検討する
- ここでの活動全てが非常に重要なFDになる
・ 人の科目に口を出さない,学部のDPを知らない状況
・ 系統性や体系性を皆で検討することがFDになる
・ その他
- シラバスの執筆要領を非常に丁寧に作る
・ いい書き方例や悪い書き方例を明示
・ 研修会を全員に開くわけにはいかないので執筆要領を充実させる
- シラバス点検
・ 点検要領(到達目標の書き方と成績評価の方法)を作る
- 科目概要,科目の到達目標の統一
・ 学位プログラムを作るときに組織的に到達目標を先に決めてしまうということが理想
・ 大きな大学であれば同じ科目名の科目を十数人で担当していることもある
- 科目概要と到達目標,できれば成績評価の方法ぐらいまでは統一する必要がある
- DPの周知と点検
・ DPの達成度を学生に聞く場合に,学生がDPを知らない
・ 先生方がDPを知らないで自分の授業をしている
- DP,CP,APは定期的に見直す
- 各学部・学科の執行部(学位プログラムの設計に責任を負っている)
・ それらの先生方が代替わりすると,前のことがすっかり忘れ去られているということがよくある
・ 教学ガイドライン
- マップ,ツリー,DPの達成度,学修成果を基に次のカリキュラム改革をするということを明文化して引き継いでいく
- カリキュラム・ルーブリック(東京慈恵医大の事例)
・ 学生調査などで各学年でのDP達成度を尋ねる
・ ところが,DPは卒業時の話
・ そこで,DPをブレークダウンして学年ごとにして,学生調査でその達成度を聞く
・ あるいはそのブレークダウンしたDPに対して,カリキュラム・マップで科目を配置する
○平野大学改革推進室長
-大学レベル
・ 教育課程の編成・実施では,各教員や専門的な主体的な参画を得つつ,大学及び学位プログラム全体で組織的に行われる必要がある
・ 副学長や学部長を中心にふさわしい体制を整える必要がある
・ 必要に応じて外部の関係者の意見を取り入れることも考えられる
・ 学位プログラム共通の考え方や尺度に従って点検・評価を行うということが必要
- 学位レベル
・ 教育課程全体の中での分担,授業内容を検討する
- 学修者本位の教育の観点から,「卒業認定・学位授与の方針」との関係を踏まえつつ,「教育課程編成・実施の方針」に従う
- 個々の授業科目の到達目標についても,「何ができるようになるのか」を意識して設定する
・ 「カリキュラムマップ」の作成等を通じて行うこと
- ディプロマ・ポリシーに設定された各観点を満たす上で必要な科目が過不足なく設定されているか検証する
- 必修科目とそれ以外の科目を分類する
・ 「カリキュラムツリー」の作成などを通じて行うこと
- 各科目相互の関係や,卒業までの期間における履修順序や履修要件を検証する
・ マップ,ツリー等は,学生の主体的な学修を促す観点から,分かりやすい形で提示されることが必要
・ ナンバリング
- 学内外に教育課程の体系性を明らかにする観点から実施する
・ 主専攻・副専攻制の活用など学生の学修の幅を広げるようなカリキュラムの工夫を促進することが必要
- 個々の授業科目レベル
・ いわゆるアクティブ・ラーニングへの転換が必要
・ 細分化された授業科目の統合
・ 1つの科目の中で「考える」,「話す」,「行動する」など,多様な学びをもたらす工夫が必要
・ TAによるサポート等も重要
○日比谷座長
- 委員から所属大学のカリキュラムマップ,ツリーについて発表がある(1人2分)
- ICUの事例
・ 作り方,手続き
- それぞれのメジャーにメジャーコーディネーターがいる
- その人の責任でメジャーの教員で相談をして作る
- 複数のメジャーが集まって協議する
- 学部長(ICUは1学部のみ)が見直しとチェック
- 学修・教育センターが学内のネットワークに公開する
○川並委員
- 聖徳大学短期大学部の保育科のカリキュラムマップ
- 免許・資格にかかわるため,文科省・厚労省の指定規則による履修の制限がある
- 学生に多くの負担をかけていた
- 実習を中心にカリキュラムマップを整理することによって,カリキュラムの重複等々も減らすことができた
- 学びの中でのアウトカムを示すことで今どのような形で学んでいるかということが理解できるようにしてしている
- 三つの方針,アセスメント・ポリシー等を参考資料に掲載
○浅野委員
- 山形大学では体系的な教育課程を編成していく上で4つのステップが必要と考えている
・ 単位設定
・ 目標設定
・ アライメント
・ アサイメント
-単位設定
・ 通常のカリキュラムマッピングでは言及されることはあまりない
・ 日本の大学では,どのレベルで目標を定めるのかというのが非常に分かりにくい
・ 山形大学では6学部合わせて22単位に整理した
- 同じ学部で教育目標が異なるプログラムが複数ある場合は,それぞれでDPを作成する
-目標設定
・ カリキュラムマップの様式に落とし込んでいく
- どのカリキュラム・ポリシーにのっとって編成されたものかを簡単にチェックする
・ 該当するかしないかを機械的に判断する作業で負担はほとんど生じない
- 次に,ディプロマ・ポリシーとの対応関係を見る
・ 授業の到達目標(シラバスから転記)を踏まえて,該当する授業がどのディプロマ・ポリシーを達成しようとしているのかを見る
- 日本の多くの大学では,○,△などの記号を用いるのが一般的
- 山形大学では,アメリカの大学の多くで取り入れているI・R・M・Aという記号を導入している
・ 導入科目(Introduced)
・ 応用・強化する科目(Re-inforced)
・ 熟達させる科目(Mastered)
・ 最終的な評価をする科目(Assessed)
- I・R・M・Aを用いると,学年進行に沿ってそれぞれの科目が導入から評価まで,どういうスパンで行っているのかが見えるようになる
- プログラムごとに数値化していって,個々のポリシーとの対応を比率で見ていくことができる
・ IRの出番
○大森委員
- 共愛学園前橋国際大学の事例
・ 今春の卒業生は初年次からKYOAI Career Gateという仕組みで自己評価を重ねてきた初めての学生
- その結果も踏まえて次年度カリキュラムの見直しをする(中期計画に掲載)
・ その中で,マップやツリーを作成した
- いずれも分野や進路,関連資格を念頭に置いて作っていた
- これまでのマップなどはDPを基にしたものになっていないということに最近になって気付いた
- まずはマップを作ってカリキュラムとDPの整合性を確認して新たなカリキュラムを作っていくのが今の段階
・ シラバスには共愛12の力との対応を記載するようになっている
・ そこで生じている課題
- 教学マネジメントの知見が学内にない
・ 学内に知見のない多くの大学にとって羅針盤,マニュアルとなるような指針・ガイドラインができると有り難い
・ 教学のリーダーである学部長なり教務部長なりの知見を深める取組というのも絶対に必要
- 学生募集という最も大きな課題との関係も十分に考慮していく必要がある
・ カリキュラムを精選の議論と関係する
○佐藤(東)委員
- 桜美林大学の事例
・ カリキュラム・マップ,ツリー作成のプロセス,責任体制,チェック体制
- 教員集団や,教授会だけでやると,人が代わった際に方針が変わったりすることがあって良くない
・ 5つの学群,161のカリキュラムモデル,19のマップがそれぞれの教育課程にくっついている
・ 学長の下に副学長が2人(アカデミック・アフェア担当,エンロールメント担当)の体制
- カリキュラムコントロールはアカデミック・アフェアの副学長が担当し,その下に学務部長がついて検討している
○佐藤(浩)委員
- カリキュラムマップ,カリキュラムツリーという用語について再検討する必要がある
・ マトリクス型のカリキュラムマップ
- 学年,学期とディプロマ・ポリシーを対応させたもの
- 授業目標とディプロマ・ポリシーを対応させたもの
・ どちらもマトリクス型だが役割が違う
- 作成の仕方
・ コアになる教職員が,しっかりと丸を付けた段階で先生に渡すのが基本的な流れ
・ 個々の先生方に丸を付けてもらう方法は体系性を確保するというのが非常に難しい
・ チャート型のカリキュラムマップ
- デザイナーを入れて作った
- デザイナーとのやりとりの中で自分たちのカリキュラムの構造が見えてきた点に意味があった
- デザイナーを使わない場合には,附箋や模造紙を使ってワークショップをやることが多い
・ 非常に盛り上がるワークで,FDとしての効果は非常に高い
- 国際的にはカリキュラムフローチャートという言葉で言われていることが多い
○清水委員
- 山梨県立大学の事例
・ カリキュラム編成の高度化
- 全学で四十数個の学士力を策定した
- 6つの共通の学士力(学士基盤力)が横軸,共通科目が縦軸
・ 丸のを付けた部分の多い少ないが一目瞭然で,カリキュラム改革が必要であることがよく分かった
・ 約1,200科目開設していて,それぞれについて全て,このようなマップを作っている
- 看護のカリキュラムツリー
・ それぞれの学部・学科,全学レベルで策定した
- 筑波大学の事例
・ 学事暦の改革
- セメスター制かクォーター制かは,何に重点に置くかということで学期制が考えられなければならない
- 3学期制をセメスター制に移行し,本で最大の柔軟性のある学期制を実現した
・ 各部局にそれを自由裁量で任せた(5週,10週,15週でもいい)
・ その結果,10週でやるところと15週でやるところに分かれた
○伹野委員
- 国立高専(全国に51校)における,全国共通の教育の質保証
・ 全高専共通の分野別教育の到達目標を記載したモデルコアカリキュラム
- それに合わせて各高専がカリキュラムを作成する
- Webシラバスというシラバス入力システムを使う
・ 学科の到達目標と到達水準の設定,到達目標に対する科目の割り当てを行う
・ すると,自動的にカリキュラムマップが設定される
- 学校全体や学科のカリキュラムについては,カリキュラムマネジャーが各学校にいる
・ シラバス上の到達目標内容をチェックし,分野間の整合性やバランス等を確認する
・ 到達度の確認
- CBT(Computer Based Testing)の結果を教育改善やFDにつなげる活動を各高専で行っている
○松下委員
- 京都大学理学部の事例
・ カリキュラムツリーではなくてコースツリーと呼んでいる
・ 全学部・全研究科のカリキュラムツリーをウェブで公開している
・ 理学部は必修科目がほとんどなく,レイトスペシャリゼーションのシステムを採っている
- コースツリーの効果が非常に求められる学部
・ それぞれの系ごとにコースツリーを作っている
- その系ごとに各学年でどんな科目の履修が期待されるかをナンバリングと併せて説明している
・ コースツリーの作成等の全学的な進め方
- 教育担当理事の下に教育制度委員会がある
・ そこが大体の方向性や内容を決めて,各部局に依頼を出す
- FD研究検討委員会と高等教育研究開発推進センターが勉強会,コンサルテーションなどを通じて部局を支援する
○森委員
- 関西大学の事例
・ 特徴
- 関西大学全体と各学位課程の構造性を意識した
- アセスメントすることを前提として作っている
- 私ども専門教員の学部への密なコンサルテーション
・ 全体の流れ
- まずは大学全体のポリシーをしっかり決める
・ 学力の3要素に区分して大学執行部の方で作った
- 学力の3要素に区分して大学執行部の方で策定した
・ それらを学年別に記述語に分けたベンチマークも作成した
・ それをどう測るかアセスメント・プランを最初に作った
- 逆向き設計を意識し,ポリシーとアセスメントを往還した
- 大学のポリシーと同じ枠組みで各学位課程の3ポリシーを策定した(全部で29ある)
・ アセスメント・プラン,マップ,ツリーを作ったことで,大学全体と学位課程の整合性は取れている
○両角委員
- 学部の一教員の立場で話す,全体については把握していない
・ ほかの先生方は学長や学長の仕事を推進する立場から説明している
- 東大教育学部の事例
・ 1・2年生は駒場の教養学部,教育学部は3・4年生のところだけ
・ 東大は先生たち個人はとても教育熱心ですが,組織的な取組は弱いという印象
・ 学部の中で専門分野別にコースに分かれていて,基本的にはそこでカリキュラムを作っている
・ 学部全体で作っている3ポリシーとの関連を真面目に皆が考えているかというと,普通の教員はそういうことは考えていないような感触
・ 局所的に一部だけ進んで,肝心なところが余り理解されていないような印象
- 例えば,全学からナンバリングのルール,成績評価の厳格化の基本方針が降ってくる
- そうすると学部の中の教務委員会で議論して教授会で決めていくというやり方をする
- 一つ一つの手段として捉えるため,目的や,ほかのものとの関連性が理解されていない
○日比谷座長
- 資料5の○印の個所について議論する
○益戸委員
- アクティブ・ラーニングについて
・ 勉強で専門知識を持っても,それをうまく伝えることができない
- 大学と異なり,社会に出ると年齢や意見が違う人がいる
・ 意見の違う相手と専門知識をどう意見交換していくかの指針があればと考える
○佐藤(浩)委員
- アクティブ・ラーニング,ICTの活用については,書き方を検討した方がいい
・ 目標に応じた適切な教育方法を選択すべきということを書くべき
・ レクチャーであっても目標に合致していればそれは構わない
- 個々の科目の到達目標について「「何ができるようになるか」を意識して設定すること」という表現が出ている
・ 最初の学修目標の設定というところに持っていくべき
・ 教育課程の編成をする際にはどういうことに気を付けるべきかという編成の原理について書いた方がいい
○溝上委員
- アセスメント・ポリシー
・ 教学マネジメントの指針に「アセスメント・ポリシー」の言葉を入れた方がいい
・ 機関,カリキュラム,授業のレベルを全体で落とし込んでいく言葉はアセスメント・ポリシー
- 事例集
・ 教学マネジメントは非常に抽象度の高い指針になるため,事例集が必要
○森委員
- アセスメント・ポリシー
・ アセスメント・プランの方がいいのではないか
- ポリシーは分かりにくく記述語になっているため
- 大学全体の教育目標の明確化,コンピテンシーの策定の話を入れることが必要
・ 学位から始まると,全てが単科大学のような話になってしまう
- 準正課や正課外なども考慮に入れてはどうか
○吉見委員
- ユニバーシティレベルのディプロマ・ポリシーの設定が決定的に重要
・ 学部・学科のことを一生懸命しても,それを超えたデザインはできない
- 縦の体系で発展してきた学問は大切だが,従来の専攻を超えた/またいだ教育の仕組みが必要
- 学生一人一人の能力と時間と意欲をベースにした教育がどこまでできるのかという見通しが必要
・ 教学マネジメントの議論はトップダウンになりがち
- 上からの仕組みを先生方に納得してもらう
・ 今の教育プログラムの体系は,学生,学修者本位になっていない
- 学生が無限に可能性を持っていて,無限に時間があるかのように作られている
- 限定された時間の中で学生たちに最高の学びをさせるという観点が必要
・ 幾つまでの科目が限界なのか
・ 1週間に学生が学ぶ科目の限界値はどこか
・ 学生の意欲を引き出すものは何か
○松下委員
- カリキュラムマップは往々にして非常に形式的になりやすい
・ 今望ましいと言われているくらいの抽象度を持ったディプロマ・ポリシーでカリキュラムマップを作った場合,形式的でうんざりする作業を強いることになってしまう
- 抽象度の高いDPだと,そこには内容に関わるものが何も入っていない
- そのDPに各科目がどれだけ寄与しているのか丸を付けても余り効果がない
- 教学マネジメント指針でカリキュラムマップとカリキュラムツリーの両方を作成することになるとかなり反発が出てくるのではないか
・ 京大ではカリキュラムツリーは作成してもらっているが,カリキュラムマップは作成を求めていない
○大森委員
- ナンバリング
・ ほかの大学との整合性やGPAの質保証を求めるのか
- 個別大学での系統のためだけであれば,ナンバリングではなくツリーだけでよいのではないか
- カリキュラムマップでカリキュラムを見直していくと,科目の多様性が圧縮されていく
○佐藤(東)委員
- 「一般教育・共通教育においても幅広い」云々のところ
・ 大綱改以降における,設置基準の2表教員の扱いは課題
- 2表教員は大学に共通する教育をと言っていた
- 様々な大学がある中,大学側がカリキュラムツリーやカリキュラムマップを定型的に作っていくより,学生本位でカリキュラムを作ることが大切
- 諸外国でどのように学生本位の教育をしているのか議論をするとよい
○清水委員
- 卒業論文は学修成果の可視化の測定につながるもの
- 教学マネジメントの指針に入れてもらいたい
○小林(浩)委員
- 大学全体レベルの文章から,教育の理念に基づいた教育目的,目標が見えてこない
- ナンバリング
・ 大学独自のナンバリングなのか,当該分野で標準的なナンバリングなのかが学外から見てわかりにくい
○浅野委員
- カリキュラムツリー,カリキュラムマップなどをガイドラインでどこまで具体的に書くか
・ ツリー,マップは教学マネジメント上,避けて通れないツール
- 目標があってカリキュラムがどう対応しているのは何らかの形で示さないといけない
- 具体的な目標がなければ測定しようがないという問題に直面することになる
・ 一方で,作成にはそれなりの負担を要するため,容易でないのは事実
・ 学内で教育改善やカリキュラム評価において,重要なコミュニケーションツールになる
- 大学全体のレベルと個々の授業科目レベルをつなぐことができる
- 教育について抽象的な議論だけでなく,具体的にカリキュラムがどうなっているのかを議論するうえで,非常に良いツールになる
・ 国際通用性という点からも重要性が増してきている
- アメリカでは適格認定団体の半数はカリキュラムマップの提出を必須としている
○小林(雅)副座長
- 目標と手段の関係
・ ここで議論しているのは手段的なこと,道具的なことが多い
・ こういうことをやること自体がFDになるとか大学教育の改善につながっているという意見が出ている
・ 余り細分化しても意味がないというのも非常に重要な指摘
- 各大学が工夫すればいいというのが最終的な合意で,余り細分化する必要はない
- ただし,余り抽象的なものでも意味がないので,その辺をどうするかというのが大きな課題
- 言葉が混乱している
・ 教育プログラムと学位プログラム
- 前回の将来構想部会あるいはワーキングでも出た
- 学位の方が上位にあると考えている
- 教育プログラムという言い方も確かにあるし,それが重要だというのも言うまでもないことなので整理が必要
・ アセスメント・ポリシーとアセスメント・プラン
- アセスメント・ポリシーが非常に重要だということは今日の沖委員の発表でもよく分かる
- 3ポリシーに加えて4ポリシーにするというのは混乱するという意見もある
- 混乱がないように委員会を進めたい
○平野大学改革推進室長
- 資料7の説明
・ 個々の学位プログラムで必要な水準をどのように確保していくか枠組みが必要
・ 平成20年の答申「学士課程教育の構築に向けて」を受けて高等教育局長が日本学術会議に「大学教育の分野別質保証の在り方に関する審議」を依頼した
- その後,参照基準の策定が提言された
・ その学問分野で学生が身に付ける基本的素養,学修方法,学修成果の評価方法の基本的な考え方を盛り込んで作成されている
・ 各大学が参考にしながら教育を作り込んでいくことが想定された
・ 24年の質的転換の答申においても引き続き審議を進めるように依頼している
- 今策定の審議を学術会議で行っている
・ 参照基準が現在どういう状況にあるのか
- 平成31年の1月30日現在で今31分野