ホーム → 大学に関わる情報メモ → 第6回EMIR勉強会
公開日:2014年10月10日 最終更新日:2015年6月27日
大学・企業が行っているIRの取り組みを聞くことで、学内に応用できる情報が得られるのではないかと思い、参加しました。
IRを進めていくときの考え方として、とくに応用できそうだと感じたのは、以下の通りです。IRの事例を聞くときに「分析のテンプレートと改善のストーリーを共有すること」を意識する、高等教育の質保証は各大学が自分たちで進めていく段階に来ている(内部質保証)、IRは意思決定に使われるだけでなく実行に移されて自ら検証・改善できないといけない、公開されているデータで使えるものは意外と存在する、次にすることが見えるのが良い評価、進学アクセスオンライン(AxOL)で他大学と比較できる、執行部だけではなく現場もデータに基づく意思決定をする、IRから話を始めるのではなくガバナンスなど大きいところから話を始める、自分の大学の意思決定メカニズムを理解する、学内データを文書化してIRの継続性を担保する(IR辞書)、IR関係者の役割の階層性(ビジョン設定→具現化→具体的な作業)、各部署がIRを行うようになるとデータガバナンスが必要になる、データ分析をこなしていく中でデータ解釈能力が身についていく、データだけではなく足を動かして文脈も把握する。
分析のフォーマットとして使えそうと思ったのは、以下の通りです。入学年度別学生管理、累積GPA×1年前期GPAの散布図、GPAをグループに分けて推移を見る、入口~出口(入試区分、学期ごとの成績、就職先)の一覧、高校生の接触状況をヒートマップ表示(入試広報)。
勉強会の目的の1つに、分析のテンプレートと改善のストーリーを共有することが挙げられていました。そして、その目的の通り、学内で応用できる情報をたくさん得ることができました。早速、業務へ反映させ始めているところです。
■ セッションⅠ(1日目)「EM、IRのグッド・プラクティスと大学評価」
■ セッションⅡ(2日目)「先進企業等が展開する大学IRソリューションへの挑戦」
■ セッションⅢ(2日目)「米国大学におけるIRのグッド・プラクティス」
■ セッションⅠ(1日目)「EM、IRのグッド・プラクティスと大学評価」
○福島先生(山形大学)「EMIR勉強会を大学IRに実践的に寄与させるために」
- 参加者数
・ 今回(第6回)
- 201名
・ これまで(第1回~)
- 66
- 191
- 260(京都光華女子大学)
- 150
- 233
- 大学が抱える課題への対応
・ リーダーシップ
・ 公的質保証
- 認証評価
- 大学ポートレート構想
・ 内部質保証
- ここにIR導入の政策誘導がある
- IRは間接業務
・ 間接組織はなるべく軽くする
・ 身の丈に合ったIT投資でよい
・ 現有の人材で効果が出るようにする
- 今回の勉強会の目的
・ 分析のテンプレートと改善のストーリーを共有する など
○江原昭博先生(関西学院大学)「日本型IRの現在地~高等教育研究とIR~」
- 高等教育の質保証のステージ
・ 第1
- 認証評価制度の導入
- シラバス、GPA、CAP制度、学生調査の導入
・ 第2
- 情報公開の義務化とエビデンスの可視化
- IR機能によって第1ステージを促進
・ 第3
- 内部質保証を各大学で進めていく(検討中)
- 日本の高等教育がIRというアイデアにたどり着くまでの流れ
・ 認証評価制度導入からの流れ
- 第2サイクルでIR実施状況に着目
・ 学士課程教育改革からの流れ
- 教育の質保証
・ 学習成果の測定にIRが役割を果たす
・ ガバナンス改革との関係
- 意思決定の枠組みが歪んでいるので修正しようという流れ
- マネジメントを有効に機能させるためのガバナンス
・ マネジメントを有効に機能させるためにIRを使う
- IRについての誤解
・ IR≠学生調査、情報公開、EM、FD、SD、IT
- IRを簡単に言うと、大学のマネジメントを支える仕組み
・ データという共通言語に基づいて教員と職員を結ぶ
- IRが何であるかは各機関が置かれた状況によって変わる
- 組織によるIRの類型
・ IRオフィス型
- 特徴:中央集権
- 利点:事例が豊富
- 欠点:IR人材が不足
- 将来:トップダウン型の小規模大学に向いている(伝統的大規模研究大学には向かない)
・ 大学評価室型
- 特徴:大学評価室をベースにIR活動を行う
- 利点:認証評価対応でデータを収集済み、データの扱いに慣れた室員が存在
- 欠点:国立大学に多い形態であり、私立大学では対応が難しい
- 将来:公立大学も同様に対応可能か
・ FDセンター型
- 特徴:既存のFD組織を流用
- 利点:FD・IRの研究者が存在、学内ネットワークの流用
- 欠点:FD活動による疲弊、研究と実践の溝
- 将来:人員が揃えば機能する可能性がある
・ コンソーシアム型
- 特徴:個別機関のデータ収集を促進
- 利点:高度な専門人員を必要としない、ハードを購入せずに開始できる
- 欠点:参加費用、機能の限界
- 将来:参加校数の拡大が必要、最終的には人材次第
- 機能による分類
・ FD連携型
- IRをFDに連携させる
・ EM型
- 既存の本部部局と連携させる
・ 学生調査活用型
- 学生調査を活用してIRを構築する
・ 学生支援志向型
- 学生支援を切り口にしてIRを整理する
- 大学の規模によってIRについての現状が違う
・ 小規模大学ではヒト・モノ・カネがないからIRができないという話になる
・ 大規模大学では人気・偏差値などに安心してIRをしなくても大丈夫という話になる
○西郡大先生(佐賀大学)「IRの全学的組織展開」
- 大学の概要
・ 学部約6,000名、大学院約1,000名
- 限られた経営資源の配分にIRを使う
- 佐賀大学のIRは意思決定をしない
・ PDCAサイクルの支援組織
- IR室設置までの道程
・ IR手法の導入
- 学長が医学部時代に病院経営へIR的な手法を導入した
- 学長になり、大学のマネジメントにIRを導入した
・ 設立時にはThorpe(1999)の機能を全て盛り込んだ
- Thorpeの機能
・ 計画策定支援
・ 意思決定支援
・ 政策形成支援
・ 評価活動支援
・ 個別テーマの調査研究
・ データ管理
・ 内部レポート
・ 外部レポート
- 実際に運用する中で意思決定支援に重きを置くようになった
- 「影響機能」を重視している
- 大学運営上のデータを扱っているのは事務職員
・ IR室のメンバー以外に、各部局に拡充メンバーがいる
- IRは意思決定に使われるだけではなく、実行に移され、自ら検証・改善できないといけない
- 関係者の合意形成が意思決定を円滑にする
・ その実現のために客観的なデータに基づいて議論する
- IR室を立ち上げてから行ったこと
・ データの査定
- どこにどのようなデータがあるかを調べた
- そのデータのうち、業務改善などIRに使えそうなものを査定した
- 各専門部会でアウトカム(成果物)とアウトプット(活動・生産)の2つの観点から指標を検討した
・ 教学
- アウトカム
・ 就職率
・ GPA
・ 退学率
・ 留年率
・ 休学率
・ 学生発表論文等数
・ 企業からの求人数
・ 授業満足度
・ 志願倍率
- アウトプット
・ 教員の授業実施時間数
・ TA等雇用状況
・ TP・LP利用率
・ FD等実施・参加状況
・ チュートリアル実施状況
・ 教材開発状況
・ 教育プロジェクトへの取り組み状況
・ 講義室等教育環境の整備利用状況
・ 学術(研究)
- アウトカム
・ 研究業績
・ 論文引用数
・ 特許保有・利用状況
・ 学会役員への就任状況
- アウトプット
・ 科研費の申請・獲得状況
・ 受託研究費の獲得状況
・ 共同研究費の獲得状況
・ その他の競争的資金の獲得状況
・ マスコミ等への情報公開・公表状況
・ 研究内容の外部へのアピール状況
・ 研究スペースの確保利用状況
・ 社会貢献
- アウトカム
・ 公開講座受講者の満足度
・ セミナー開催時の修了者率
・ 産学官連携施設の学外者利用率
・ 技術移転・企業化の状況
・ 留学生の学位取得率・就職率
・ 海外からの講演・シンポジウム等の招聘状況
・ 新聞等での報道回数
・ 学外からの表彰数
- アウトプット
・ 公開講座・講演会・シンポジウムの実施状況
・ 特別の課程等の開設・受け入れ状況
・ 審議会等への参画
・ 知財の取得状況
・ 留学生の受け入れ状況
・ 交換協定を踏まえた教員・学生の交流状況
・ 国際援助等での活動状況
・ EA環境管理目標の達成度
- データの種類
・ 教学
- 学校基本調査を利用した比較分析
・ 分野別に国立大学平均値と「ストレートに卒業した者の割合」などを比較
・ 男女別データなども表示
- 入学者におけるセンター試験得点分布
・ 学部ごとの学力差異が見られる
- 卒業時点の就学状況分析
・ 4年間のGPA、取得単位などを散布図で表示
・ 当該年度の学部ごとの特性がわかる
・ 高校訪問の際に類似のグラフを利用
- 大学ポートレートを利用したベンチマーク
・ 個別大学のデータが公開されるので、より詳細な分析が可能になる
- 18歳人口の地域別減少率分析
・ 18歳人口減少推移と、志願倍率シミュレート、学力との関係
- 卒業者のGPA推移
・ 文系・理系ごとの在学期間中のGPA推移
・ 初年次からの動機づけ、教育支援が必要ということがわかった
- 内部質保証システムの確立
- 入口と出口を考慮した分析
・ 学術
- 研究業績(経年分析)
- 科研費の採択状況(他大学比較)
- 外部資金受入状況(経年分析)
- 外部資金受入実績(部局別)
・ 種類(科研費・奨学寄附金・受託研究・共同研究)別に各部局のシェアを表示
・ 経営基盤
- 収入支出予算
・ 組織に区分して収支予算の各事項を円面積で表現
・ 収支状況がイメージしやすくなっている
- 運営費交付金依存度(他大学比較)
・ 各学部と単科系大学を比較
・ 単科大でも規模などに応じて交付金依存度にばらつきが生じている
- 部局(テナント)別収支決算
・ 予算決算情報から部局相互の関連性で取引をしたものとして作成したイメージ
・ 自己収入のみで運営できる部局がないことがわかった
- 組織改編に関する分析
・ 予測志願倍率から入学定員の適正規模をシミュレートしたもの
- データの活用
・ 学校基本調査
- 使いこなすのが難しい
・ 政府統計(e-Stat)
- 使いこなすのが難しい
- 可視化されていないので、何に使うのかなどの明確化が必要
・ 平成24年度「大学基本情報」(学校基本調査データ)
- データの加工・可視化・分析
- ベンチマーキングの検討
- 分析例
・ 進路決定(就職+大学院進学でソート)
- 分析のポイント
・ 厳密性に固執しない
- 真理の追究ではない
- 木を見て森を見ずにならないように注意する
・ 気づきや改善のきっかけを提供する
- 強み・課題などを可視化する
- 取り組みや改善を支援する
- 情報の流れ
・ 大学執行部
↓指示
・ IR室 ※意思決定は行わない
↓データ提供・分析依頼
・ 拡充メンバー(各部署)
↓データ提供・分析結果報告
・ IR室
↓報告
・ 大学執行部
↓関係部局へ対応策を指示
・ 関係部局
↓対応策などを報告
・ 大学執行部
- IRデータはIR室で作るのではなく、現場で作る
- IR室会議のメンバー
・ 学長
・ 室長(進行役)
・ IR専任
・ 室員
・ 理事(陪席)
- 案件によって学長から理事へ指示
- IR室会議の後に理事会が行われる
・ 学長から指示があった場合などは、すぐに議論が行える
- データの取り扱い
・ 内規として整理
・ 学内のデータ収集
- 学長または理事の指示に基づき行う
・ セキュリティ
- 関連規則などを遵守
- やりすぎると動けなくなる
・ 利用制限
- IR業務以外に利用不可
- 佐賀大学版IRの2つの機能
・ 情報提供機能
- 正しい現状認識、正当な評価、的確な戦略・戦術を支援するための情報
・ 影響機能
- 「頑張っている人が評価され、さらに頑張れる、やる気がでる、せざるを得ない」というモチベーション向上
- 一見するだけで突出した実績や取り組みがわかるデータ
・ インセンティブがないにもかかわらず、関係者の問題意識や行動意欲を喚起させる
- 「評価反映特別経費」に活用している
・ 学長裁量の経費
・ 部局の実績に応じて配分
・ 査定の基準を細かく決めている
- 教学指標
- 学術・研究指標
- 地域・国際貢献指標
- 運営基盤指標
- 影響機能の事例
・ オンラインシラバスの入力率100%達成
- 入力催促を繰り返しても入力率が上がらなかった(「評価反映特別経費」導入以前の平成23年度79.8%)
- 入力率100%の部局へ予算配分を行った結果、入力率が上がった(導入初年度の平成24年度98.2%)
- 入力率100%未達成部局は予定額から減額するようにしたところ100%達成(平成25年度)
- 今後は内容を査定していく方向
・ 就職内定率状況調査の「不明者」ゼロ達成
- 不明者=進路先が把握できない学生
- 不明者の数は就職内定率を低下させる要因(内定率=就職内定(決定)者数÷[卒業者数-大学進学者数+社会人等]×100)
- 平成24年度までは2ヶ月ごとの報告
- 平成25年度からは週に1回の報告
・ 学科別の一覧で提供(不明者の多い学科が一目瞭然)
- 学内からのデータリクエスト
・ 大学改革の推進
- 教員採用試験の合格率
- オンラインシラバス入力率
- 入試成績ベンチマーク
- 競争倍率と入試成績とのシミュレーション
- 大学入試センター試験と公務員合格率の関連
- 英語入試成績・GPA・ストレート卒業率の関連
- 新旧両課程のGPA比較データ
- 就職状況
- 留学状況
- PDCA
・ P:現場から情報を収集、データを可視化して執行部に提供
・ D:学長が全てのデータを把握していることが現場の意識・行動に影響
・ C:執行部・現場に情報提供、データの基づく議論、PではなくCから始まることが多い
・ A:改善に向けたインセンティブ
- 複雑な分析作業は必要ない
・ 誰もがわかる情報であることが大切
- Excelレベルでできるもの
- 今後の課題
・ 分析データのユーザビリティの向上
- カテゴリ整理、検索機能など
・ 多面的な評価
- Quality Indicator
・ 定型作業の自動化
- ただし、全てを自動化することはしない
- 分析の内容がわからなくなるため
・ IRデータをステークホルダーへどのように公開していくか
○嶌田敏行先生(茨城大学)「IRと大学評価-改善に向けた現状把握-」
- 大学評価
・ 適切に実施・運用することで大学を改善するツールとなり得る
- 単なる報告書づくりで終わってしまう現状がある
・ 今回は評価とIRを用いた大学改善の取り組みを紹介する
- 自己点検評価(現状把握)を基に、外部評価・第三者評価をテコにして大学改善を図る
- 茨城大学の評価・改善の状況
・ 第1期
- 第三者評価対応に大きなリソースを割いていた
・ 第2期
- 法人評価が簡素化されたので、リソースを大学改善に活用するようになった
- 次にすることが見えるのが良い評価
- IRとは何か
・ 意思決定支援
- しかるべき人たちに、次に何をすべきかを考えてもらうための支援活動
- そのために、リクエストの内容を踏まえてデータを有用な情報に変換する
- 評価業務を起点として意思決定支援を行う
- 改善支援の事例
・ 課題:留年・退学が他学部に比べて多い
- 成績データ・学籍データを使用した
- コーホートでの整理、取得単位数の推移、留年・退学する学生の成績を分析
- 一定以下の成績が二学期続くと留年率が上昇していることがわかった
- 履修指導で活用できる
・ 課題:成績不振者の原因を知りたい
- 成績データを使用した
- 数学・物理の成績グループごとに、その後の成績を分析
- 数学・物理などの基礎力不足の学生は、その後の成績が不振であることがわかった
- 教養教育と専門教育の連携強化を行うことに活用できる
・ 課題:成績の推移と就職の関係を知りたい
- 成績データ、学籍データ、就職先データを使用した
- 成績の推移表に就職データを連結した
- あまり関係がないことが分かった
- 定番の議論の素材にできる、各学科などのFDで活用できる
- 入学年度別学生管理
・ 入学年度ごとに下記項目を集計する
- 横:入学者・1年後・2年後・3年後・4年後・5年後(それぞれ%と人数)
- 縦:在籍継続率(Retention)、卒業率(Graduation)、在籍+卒業率(Persistence)、脱落率(Dropout)
- 累積GPA×1年前期GPA
・ 散布図を作る
・ プロットを色分けしてグループごとの差異を可視化する
- 48ヶ月で卒業
- 48ヶ月未満で退学
- 48ヶ月以上かかったが卒業
- 在学中
- 学期GPA
・ GPAを区間に分け、それぞれがどれくらいいるかを円グラフで表示
- クラス1:2.5~
- クラス2:20.~2.5
- クラス3:1.5~2.0
- クラス4:1.0~1.5
- クラス5:~1.0
- クラス0:5授業未満
・ 各グループについて学期ごとの推移を見る
- 1年前期にクラス1(2.5~)だったグループ
・ 1年後期にどのクラスになっているか
・ 2年生以降の平均クラス数、退学者数・卒業遅延者数・未卒者数
- 例:1年前期にクラス1が43名 → 1年後期にクラス1が23名・クラス2が12名・クラス3が7名・クラス4が2名 → 4期(2・3年前後期)の平均クラス1.47
- 入口~出口の一覧を各学部・学科に配信し、年1回議論を行う
・ 横:入試区分、学期ごとの成績、就職先など
- 成績は色分けで表示
・ 縦:学生個人
- 議論のネタをいかに投入できるか
- 意思決定支援のために行うこと
・ 数量データを効率的に収集する
・ 有効に情報に変換する
・ 学内で活用する
- 頑張っていることを示したいなら、記述ではなく、客観性のある数字で示す癖をつける
- 評価部署の人数はそのままで、IR業務を取り込んだ場合、業務が増加するだけになる可能性があるので注意
- IRオフィスの目的をはっきりさせることが大切
○オープンディスカッション
- ネガティブIRとポジティブIR
・ 現場が嫌がる情報「も」大切(西郡先生)
・ 目的が現状改善であればネガティブでもよい、組織の目的によってどちらもあり(福島先生)
・ ネガティブな情報はいきなり会議に出さずに、まず内々に知らせる(嶌田先生)
- 優位性を出すのにIRをどのように使うか
・ よい競合を探すことが大切(嶌田先生)
・ 特色を見つけるIRの段階 → そこで明らかになったことを基にして行うIRの段階(江原先生)
- ステークホルダーへの情報提供
・ 意外と私立大学はネガティブな情報を公開している(西郡先生)
- 健康診断の比喩で言うと、先生方のIR担当部署の立ち位置はどちらか ※橋本から質問
ⅰ) 相手から「お腹が痛い」という申し出を受けてから体を調べる(相手が持っている[知りたいという動機]から調査が始まる)
ⅱ) 相手の顔色が悪いのを見て体を調べる(相手は知りたいという動機がない、こちらからの働きかけから調査が始まる)
・ ⅰの方が多い、執行部からの依頼が多い、関係部署に自覚症状を持ってもらうことが効果的(西郡先生)
・ ⅱの方が多い、学部長に直接伝える信頼関係がある、検査を受けに来てと言ってもなかなか来てくれない、営業活動が必要(嶌田先生)
■ セッションⅡ(2日目)「先進企業等が展開する大学IRソリューションへの挑戦」
○鈴木達哉先生(山形大学、YUEMIR Inc.)「大学IRのワンストップ・ソリューションを提供する機関の構想」
- ツールの使い分けが大切
・ SQL + Microsoft SharePoint
- データ蓄積・共有
- 基盤となるシステム
・ SAS Visual Analytics
- データ分析結果の共有
- 美しいビジュアルによるデータプレゼンテーション
・ 意思決定者に伝えやすい
・ Excel + Access
- 速報的レポート
- ディスカッションとコミュニケーション
- 大量のデータを扱う場合
・ Excelだけでは重い
・ Accessを使った整形を間に挟むだけでExcelの処理が軽くなる
- IRを導入する際の課題
・ システム会社の選定
- システム系企業
・ 学内実績があるので安心
・ ただしオーバースペックになりがち(自分たちだけで使えない)
- BI系企業
・ 要件定義書の作成
- どのように要求すればよいかわからない
- 漠然とした内容で伝えてしまう
・ 相談
- そもそも相手がいない
- コンサル企業・調査企業は高いのでないかと躊躇
⇒ そこでワンストップサービスを提供する
- 組織上の課題に対して
・ IRに対する組織全体の理解・浸透
・ IRの専門組織の構築
- 勘所・他大学の事例などを紹介
・ IRスキルの向上
- Excelなどの汎用ソフト、高度なソフトの研修
- 調査設計・実施・分析上の課題に対して
・ 調査目的を踏まえたコンセプト構築
・ 調査の設計・実施・分析
・ アウトソーシングが必要な場合は相手先企業の選定
・ 予算相談
- システム構築上の課題に対して
・ 適切なソフトでの対応
- Excelなどの汎用ソフトで対応できるものもある
・ システムの必要性について検討
・ 予算相談
- アウトソーシングの課題に対して
・ 条件によってはアウトソーシングの方が良い場合がある
・ 調査会社の情報収集・紹介
・ 予算相談
- 日本のIR文化の醸成につなげたい
○吉村修氏(株式会社マイナビ)「AOLが提供する大学マーケティング分析」
- 進学アクセスオンライン(AxOL)
・ エビデンスに基づいた出願希望者管理
・ 導入校230(2014年9月現在)
・ ユーザーから寄せられる不満・要望を基に、毎年改良している
- 開発の経緯
・ 先進的な募集活動をしている大学から提案を受けた
・ 2001年に開発した
・ データを蓄積しておけば部署内の異動があっても継続的に対応できる
- AxOLでできること
・ 請求者管理
・ 高校・高校訪問管理
- とくに大規模大学では誰がどこに訪問しているかを学内で共有できていない
- 紙による管理だと、検索が手間
・ ガイダンス管理
・ 統計・集計
- リアルタイムに活かすことができる
- 紙による管理では集計の結果を活かすのが翌年度になってしまう
・ 業務管理
- 発送管理
- メール配信
- イベント申し込み受付
- アンケート受付
- 集計の例
・ 学部別オープンキャンパス参加率
・ 入試方法別初回接触時期
・ 新規作成した印刷物の効果測定(A/Bテスト)
- [送った層]と[送らなかった層]を比較
・ オープンキャンパス参加率
・ 出願率
- ヒートマップ機能(AxOL2015に搭載)
・ Google Mapを利用
・ 視覚的に条件の比較ができる
- 学年別、男女別、資料請求者、来校者、出願者など
- プライオリティ分析
・ 西内啓氏(統計家)の協力
・ 行動履歴に基づいたセグメント分け
- 接触時期×接触頻度
・ 各セグメント(人数が記載されている)をクリックすると個人情報が表示される
- 競合他大学との比較(AxOL2016に搭載予定)
・ 許諾校(比較用としてデータ提供を承諾した大学)との比較が可能
○滝田忠之氏(丸善株式会社)「大学経営戦略と行動計画策定」
- ガバナンス強化の支援に力を入れている
- 経営戦略と行動計画策定のポイント
・ ビジョンが明確
- 可能な限り成果が測れるように数値に置き換える
・ 複数の数値を設定する
- 数値化が難しければ、客観的に第三者が評価できる状態で表現する
- 曖昧な目標では曖昧な行動になる
・ 経営戦略=目標達成の方法、行動計画=戦略の具体的な取り組み
- 経営戦略・行動計画は成果ではない
- すること自体が目的になってしまい、成果が意識されないのは問題
・ よって、経営戦略・行動計画は柔軟に変更すべき
- 目標を達成する手段なので変更してよい
- 行動計画を遂行する職員力(PDCA)が試される
- 戦略は構造的
・ 建学の精神、理念>ビジョン(中期計画、5年後の姿)>ビジョン達成のための戦略(重点領域の明確化)>行動計画
- ビジョン:共有しやすいようにKPIなどで数値化したり、誰もがわかるような達成時の状況に置き換えたりする
・ 例:地域・社会の発展に貢献 ⇒ 地域・社会から頼られる存在 ⇒ 地域・社会の問題解決に向けた委託研究が増加など
・ KPI設定のポイント
- 戦略・計画の文脈に合っている
- 測定対象の実態を客観的に表している(恣意的ではない)
- 比較ができる
- 測定が容易
- 取り組みが可能
・ KPIはperfomanceの指標だが、actionの指標になりがち(例:企画を提案した数ではなく志願者の数が大切)
- 戦略
・ ビジョンがないと戦略が網羅的になりがち
・ 推進するための教職員の在り方が不明確だと行動計画も不明確になりがち
- 行動計画
・ 4半期ごとの進捗管理を行う
・ [教育研究・学生支援・社会貢献・経営]×[社会との関係・組織の構造・学内ステークホルダー]のマトリックスで考える
○オープンディスカッション
- 卒業後の追跡調査
・ 福島先生
- 正面から企業に尋ねても人事考課の情報なので、情報提供はNGの場合が多い
- 教員と企業の関係が深い場合は個別に直接聞くことはできる
- アンケート
・ 日経リサーチの調査と設問を揃えて行っている
・ 卒業して5年後、10年後の卒業生に当時を振り返ってもらう
・ ただし回収率が低いのが課題
■ セッションⅢ(2日目)「米国大学におけるIRのグッド・プラクティス」
○柳浦猛氏(Postsecondary Analytics)「米国大学におけるIRと戦略的計画策定」
- Postsecondary Analytics
・ 高等教育分野におけるエビデンスベース経営促進に特化したコンサルティング会社
・ アメリカのフロリダ州が本拠地
・ 主なクライアント:財団・州政府・大学
・ 主なサービス:中長期戦略策定支援・データ分析・プログラム評価支援・IR立ち上げ支援・IR人材育成支援・講演
- 日本のIRは定義の段階から実践の段階に移っていると感じている
- IRを機能させるために必要なこと(1つでも欠けるとIRが成り立たない)
・ 大学内のIRの位置付け・ミッション
・ IRの組織運営
・ IRの人材育成・確保
- 全ての意思決定にデータの裏付けがあることが理想
・ 執行部だけではなく現場も含む
- IRが支援することができる意思決定の例
・ 学生リクルート戦略
- 現在の学生獲得活動は効果的に行われているか
・ 奨学金戦略
- 奨学金によってどこまで入学者数を増やせるか
・ リメディアル教育
- リメディアル教育を受けた学生の学力向上の度合い
- どのくらい費用を投入しているのか
・ 大学予算
- 1単位あたりの費用(直接・間接費用を含む)
・ 学部・学科間の差
- 現在の費用構造は大学のミッションをどのくらい反映しているか
- 将来の学生数の変化、それによる学費収入の変化
・ エンロールメントマネジメント
- 中途退学者・留年者に共通する傾向はあるか
・ 就職支援
- 就職有無による学生の差は見られるか
- IRから話を始めるのではなく、ガバナンスなど大きいところから話を始める
- IRはアメリカの大学の組織行動にフィットするようにできている
・ 日米の違いを理解する必要がある
・ 木(IR)を見て森(大学組織)を見ずにならないように注意する
- 自分の大学の意思決定メカニズムを理解する
・ どの分野で、誰の意思決定をどのように支援するのか
- IRに求められている役割と、自分の置かれている環境を理解して、現実的な中長期の展望を持つ
- アメリカの大学組織運営理念
・ 共同経営モデル(shared governance):3者が異なる役割を担う
- 理事会
・ 大学のオーナー
・ 学長の任罷免権がある
・ 重要な案件のみ意思決定を行う
- 学長
・ 組閣を行う
・ 予算を提出する
・ 運営状況を随時理事会に報告
・ 大河の案件の最終決定権は学長に属する
- 教授会
・ カリキュラム・教育方法・教員採用を担う
・ 学長や理事会に諮問機関として提言する
・ ただし教授会の決定事項に拘束力はない
・ 理事会の1人として教員の代表が参加する大学もある
- 日米の大学組織の違い
・ 理事会の位置付け
・ 教授会の位置付け
- 平成27年度から法的には米国と似た形になる
・ 学長を頂点にした組織ヒエラルキー
- 日本の大学におけるIR・執行部・教員の関係
・ パワーバランスは執行部<教員
・ 日本のIRは政治的に米国ほど守られていない
・ 学校教育法改正は執行部の権限を強くする可能性がある
- ただし権限がいびつな形で強くなる可能性もある
- IR担当者は政治的中立性を失わないように注意
- 日本でIRが機能しづらい理由
・ 最終責任の所在が曖昧
- 集団の合意に基づく経営モデル
- 大学の全組織に対して絶対的な権限を持つ個人がいない
・ 意思決定プロセスが明確ではない
- 情報を提供するタイミングが不明確
- 情報を提供する先の顔が見えない
- IR設置の初期段階で行うこと
・ IR自体のキャパシティ分析・開発
- ミッション設定
- 他部局との折衝
・ どの部局にどのデータが存在するか理解する
・ 各部局がどのようなデータをほしがっているかを理解する
・ 各部局が発表してきた統計データの定義を確認する
・ データシェアに関する合意形成
- IT担当者との折衝
・ ウェブ担当者
・ データベース担当者
- 人材配置・採用
- 長期スケジュール・目標設定
・ いつまでに何を行うか
- データ辞書(IR辞書)の作成、学内データ整理
・ 学内のデータを定義する
- どういう目的でどのようなデータが集められているかの一覧
・ 担当者が異動しても継続できる
- 個人に情報が集中しないようにする
- IRの初期段階のゴール
・ 大学のデータに関して誰よりも詳しい存在になる
・ 大学内ポリティックスからできる限り距離を置く
・ 大学ファクトブックを作成する
- ただデータをもらうだけではなく、ストーリーのあるデータ、みんなが使えるデータ
・ 例:対外的なインタビューや保護者への説明などで使える資料
・ 大学のデータに関して全て文書化する
- できるだけ細かく記録する
- 担当者が異動しても継続できる
- 文書化の例
・ どのデータが、どの部局で、どのような定義で、いつから収集されているか
・ 各統計データは、どのように定義され、どのような計算式を用いて、どの部局の誰が作成したのか
- IRのデータは4種類ある
・ 報告 ⇒ 分析 ⇒ 測定 ⇒ 予測
- 順番が大切(報告からいきなり予測にはいってはいけない)
- 順番が後になるほど組織運営に与える価値は大きくなる
- 報告:何が起こったのか
- 分析:なぜそうなったのか
- 測定:何が起こっているのか
- 予測:何が起こるのか
- IRの人材育成・採用
・ 米国
- 分析官<副部長・上席分析官<部長(3段階のヒエラルキー)
・ 部長:ビジョン設定、調整役、IR部門マネジメント
・ 副部長・上席分析官:分析・予測・評価、分析官指導・育成
・ 分析官:報告書作成、データ要求対応、その他ルーティン的な分析
- 部長のビジョンを副部長・上席分析官が具現化し、その具体的な作業を分析官が行う
- 部長は分析作業よりも組織内調整に時間を費やすことが多い
- 採用基準
・ 部長:博士号保持者が多い
・ 副部長・上席分析官:修士号以上
・ 分析官:学部卒、もしくは修士号保持者が一般的
- 一般的なIR部署のサイズは2~5人
- 大学組織が複雑になるほどIR部署の人員が増える傾向がある
- どのように採用されるか
・ IRにターゲットを絞った求人ウェブサイト(無料)
- AIR
・ 高等教育情報誌の求人広告(有料)
- Chronicle of Higher Education
- Inside Higher Ed
・ その他
- コネクション
- Linkedin
- インターンシップ など
・ 日本
- IRディレクターに求められるスキルは米国と異なる
・ 執行部の視点を持ちつつ教員と対応できること
・ コミュニケーション能力(データを情報に変換する能力)
・ バランス能力(執行部の一部とレッテルを貼られないようにする)
・ IRの役割に対する明確なビジョン
・ 長年の分析作業経験があることが理想
・ 米国と比べて政治的に守られていないため、人間的な部分・泥臭さが求められる
- キーパーソンは中級レベルのIR分析官(副部長・上級分析官)
・ IRのビジョンを具現化させる分析能力
・ 創造的な作業にできるだけ従事させるのが望ましい
- エントリーレベルのIR(実働部隊)を確保することが不可欠
・ 様々なルーティンワークをこなす
・ ルーティンワークの上に創造的な作業が成立する
- 中級レベルのIRをどのように発掘・育成するか
・ ゼロからOJTで育成するのは不可能に近い
・ 修士号保持者で大学院レベルの統計を学んでいることが望ましい
・ 統計を実際に使用したことがある人
・ 教育分野が望ましいが必須ではない
- 米国では教育分野以外からも幅広く募集している
- ディレクターが大学の文脈・教育の視点を教授する必要はある
- エントリーレベルのIRをどのように発掘・育成するか
・ 比較的短期間のOJTで育成が可能
・ 基本的なスキルは個人がインターネット上の情報、書籍で学ぶことができる
・ 中級レベルのIRによる指導が現実的
・ 「Excelができる人」から始める
- ピボットテーブル、統計を教える
- 仕事を通して数ヶ月でコツをつかんでくる
・ レベル別スキル
- 統計(SPSS・SAS・Stata・Rなどのソフトウェア)
・ レベル1:信頼区間、検定、パワー
・ レベル2:分散分析、相関分析
・ レベル3:回帰系分析、因子分析など
・ レベル4:準実験デザインなど
・ レベル5:階層的線形モデル、共分散構造分析など
- Excel
・ レベル1:図表作成
・ レベル2:記述統計関連関数(if, stdev, medianなど)
・ レベル3:ピボットテーブル
・ レベル4:マクロ、フォーム
・ レベル5:ゴールシーク、その他関数など
- SQL
・ レベル1:Accessクエリ
・ レベル2:Accessレポート
・ レベル3:SQLコード(初級)
・ レベル4:SQLコード(中級)
・ レベル5:SQLコード(上級)
- データプレゼン能力
・ レベル1:PowerPoint
・ レベル2:ダッシュボードソフトウェア(Tableauなど)
・ レベル3:プログラミング言語(JAVA, HTML5, C+など)
- IRの今後
・ 米国
- IR部署が中央集権的に行っていた
- データベースが進化することで、各部署がIRを行えるようになった
- その結果、各部署のIRを調整するデータガバナンスが重要になってきている
・ 日本
- データ分析を行う環境が整っていないまま、IRを立ち上げている
・ データ分析が仕事であるにもかかわらず、基礎データがない
- 学内にデータベースが乱立している
・ それぞれが連結されていない
・ 各部局がデータを保持していて、部局外にデータをシェアしない
- IRに過度な期待がある
・ IRの役割は課題を明らかにすることであって、解決することではない
・ 解決は執行部・教員の責任
- 人を介さないデータへのアクセス環境が必要
・ 部局などに依頼してデータを提供してもらうのはなく、IR部署がアクセスできるようにする
- 最低でも、入試・成績・奨学金・就職のデータが必要
- IR担当者のデータ分析能力向上が必要
・ データ分析をこなした分、データ解釈能力は身についていく(経験で身につくものがある)
・ 一般公開されているデータを積極的に活用する(意外と存在する)
- 人事制度の見直しが必要
・ 高等教育内外から広く人材を集められる人事制度が不可欠
- 任期付の採用では集まりにくい
・ 給与システムの見直し
- データ辞書の作成が必要
・ 教員がIRを担当することが多いため、知識が集積されにくい
・ データに関する情報を全て文書化する
- Postsecondary Analyticsでは、IRのトレーニングサービスを提供する予定
- 質疑応答
・ 上層部に伝えるときはデータだけではダメ、足を動かして文脈も把握することが大切(柳浦氏)
・ 文章化することがとても大切(柳浦氏)
・ アメリカでは戦略的な予算配分が盛んか
⇒ 基本は前年度ベース(=昨年度どれくらい使ったか)(柳浦氏)
・ カリキュラム編成などにIRはあまり関わらない、分業が進んでいるため(柳浦氏)
・ 予算の確保(柳浦氏)
- ニーズや何が明らかになるかをはっきりさせた上で、ヒト・モノが足りないことをデータで示す
・ 指標のポイント(柳浦氏)
- わかりやすい
- 透明性
- アクションにつながりやすい(今日の1歩を踏み出しやすい)
- 項目数を多くしすぎない
・ ビジュアルで示す(柳浦氏)
- 例:学生向けに卒業にかかる年数を減らしたい情報を伝える
・ 設問に答えていくと生涯賃金などが表示されるサイト
- モバイルでも見られると閲覧が増える
- 添付ファイルで送っても見てもらえないが、URLを送ると見てもらえる
・ データがどのように受け取られるか、どのような質問が来るかを想像する(柳浦氏)
・ 「IR辞書」でよく使われるフォーマット、整備していくときに参考となる事例はあるか ※橋本から質問
⇒ フォーマットはないが、IR辞書を公開している大学はある(柳浦氏)
・ 日米で事情が違うので、日本では違う形になると思う
・ 個々の大学によって適切な形は異なる